ハイプレミアム商品の新ブランド「THE ANSWER」。想定価格は税込1760円(シャンプー、トリートメント各種)で、10月上旬以降、一部の取扱店で順次先行発売
昨年から実施しているヘアケア事業の変革において、ヘアケア研究を100年間実施してきた花王ならではの新事業ビジョン「髪の生きる力を、ヒトの生きる力へ。」を策定。より短期間に新ブランドを展開するため、これまでの各部門によるリレー方式ではなく、各部門の人材でチームを作る「スクラム型」の開発体制を導入した。
近年、ヘアケアのハイプレミアム市場 は拡大傾向の一方、同社は比較的リーズナブルな価格帯のブランドが強く、ハイプレミアムに対応するブランドが少ないという課題があった。そこで4月にハイプレミアム商品第1弾として「melt」を発売。9月までの実績は、計画比の約2.7倍と好調で、購入者の9割が満足しており、65%が継続購入の意欲を示しているという。
「マスブランド」(1400円未満)に属する「Essential(エッセンシャル)」もリブランディングし、ブランド計で前年比120%、10~20代でトップシェアを獲得。「melt」と「Essential」の好調もあり、花王のヘアケアのマーケットシェアは直近半期で9年ぶりに前年プラスに反転した。
ハイプレミアム商品はイメージや世界観を重視して選ぶ人が多く、英調査会社カンターが提唱する「NeedScope(ニードスコープ)」に基づく6つの感情分類に即してブランドポジションを決定。「melt」は「優しさ・安心感」に対応しており、機能から宣伝活動まで、その感情に訴えかける設計となっている。「THE ANSWER」は「こだわり・調和」に対応するブランドで、高い品質や「サイエンス感」のある世界観を訴求する。
新ブランドの魅力を伝えるため、SNSや検索エンジンなど、「ヘアケアの正解を求める生活者」の行動導線に網を張るほか、10月31日まで、東京都内の31のヘアサロンと期間限定のコラボレーションを実施する。
ハイプレミアム市場について、ヘアケア第1事業部 ブランドマネージャーの野原聡氏は「参入が増えて成功は難しくなっている。中身と世界観がしっかりしている商品が伸長していく」と展望を語った。2025年にはハイプレミアム商品第3弾を発売するほか、ヘアケアブランド「merit(メリット)」のリブランディングも実施する予定。マスブランドのリブランディングやハイプレミアム商品の成長を通じて、ヘアケア事業の売上伸長率を2027年までに約1.4倍(2023年比)にすることを目指す。