広告から購買までをつなげ本来の広告効果を判断すべき
富田氏は「グローバル企業では防衛手段としてアドベリフィケーションツールを当たり前のように活用していますが、日本国内では広告会社やプラットフォーマーに対する一定の安心感や、従来の商習慣もアドベリフィケーション導入率の低さに影響しているのではないか」と現状について話す。
広告主側では “守り”とも言えるブランドセーフティに投資することの費用対効果も問われ、またコストや人員の関係でそこまでやりきれないと課題感を持つ企業も多い。そうした中で同社はどのような解決策を提示していくのか。
「同領域ではIASやDoubleVerifyなどグローバル企業が中心となってソリューションを提供していますが、アドベリフィケーション推進協議会としてだけでなく、電通デジタルとしても各社と緊密に連携を図っています。さらにクライアント側の業種・業態も多岐にわたり、これらの知見が蓄積されてきています。
また電通デジタルはCRMやデータクリーンルームに関する専門チームも有しているため、広告接触から購買までをつなげ、“顧客の質”も把握可能です」と富田氏。「例えばMFAサイトに関しては、クリック率が非常に高いケースもあり、数値としては“効果のある配信面”として評価されてしまいます。
しかし、実際にMFAサイトから集客された顧客の最終的なCV率やLTVを見てみると、本来、期待する“広告効果”が高いとは言い難い。広告クリック前のユーザーの行動も含め、目先のCTRにとらわれない総合的な観点で“本当にその広告に効果はあるのか? ”を判断すべき。そうした部分のサポートもワンストップで提供できるのも強みです」と続ける。
例えば従来のパネル調査と組み合わせてアドベリフィケーション指標をベンチマーク化して配信面を精査し、日々の広告運用のPDCAに組み込むといった提案も行っているという。
アテンションエコノミーに対応 新たなツール活用方法を提示したい
アドエクスペリエンスの質と広告の効果という側面、投資に対する効率という側面から考えると、適切なアドエクスペリエンスを設計する難しさはある。先述の通り、生成AIの普及で新たな脅威が生まれていることも含め、デジタル広告ビジネス市場の健全化に向けた対策は、次のフェーズを迎えていると富田氏は話す。
「広告会社としては、出稿時の与件整理の段階で、そうしたリスクを前提とした提案を行う必要があります。皆さんも今一度、出稿状況を確認してもらえたら」と富田氏。
大山氏は「ユーザーエクスペリエンスをより高めるためには、継続してPDCAを回していく必要があります。当社のソリューション開発も含め、さらにクライアントごとの提案の精度を高め、業界全体で指標やツールの活用方法も模索していけたら」と今後の展望を語った。