電通デジタルは10月7日、生活者の購買行動に関する、EC(オンライン)と店頭(オフライン)を横断した「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」の結果を発表した。本調査は2022年から実施しており、今回で3回目。
「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査」は、主要商品(13カテゴリー29商品*)をベースに、認知・比較検討・購買・購買後の各フェーズにおいて、ユーザーがどのようなチャネルに触れ、行動をしているのかを調べるもの。
*主要13カテゴリーに含まれる29商品:ファッション・インナー・小物/美容・コスメ/食品・スイーツ/ドリンク(お酒以外)/お酒/日用雑貨/ダイエット・健康/医薬品・コンタクトレンズ/ギフト/ペット用品/電化製品/インテリア/キッズ・ベビー・おもちゃ
今回も昨年の調査に引き続き、新型コロナウイルス感染症による社会影響が薄れ、生活者が日常を取り戻す中、購買行動にも変化がみられていることに伴い、ECと店頭を横断する生活者の購買行動を調査。4,350人を対象に、主要商品別に認知・比較検討・購入の各フェーズにおけるメディアへの接触、決済方法、ポイント活用への意識など購買のデジタル化について、生活者が重視した項目をまとめた。
購買のデジタルシフト続く、「リスクヘッジ購買」の傾向高まる
調査によると、コロナ禍による行動制限が解かれ、生活者の日常が戻った現在でも、購買行動全体においてデジタルシフトの傾向は継続。とくに、比較検討フェーズでは、オンラインチャネルを利用する生活者が2022年の50.0%から2023年には52.2%、2024年には55.7%と、2年間で5.7pt 増加した(図1)。
図1
また今回の調査は、1万円未満の購入は実店舗が多数となる結果に。一方、1~5万円の価格帯ではオンライン決済が増える傾向が見られた。5万円以上の購入については、オンラインと実店舗での利用に大差はなく、高価格帯の商品購入における選択基準に両者の違いがほとんどないことがわかった。電通デジタルはこの結果を踏まえ、オンラインでの決済額は今後も増加する可能性があり、注視が必要だという見解を示している(図2)。
図2
検討要素の多い商品に関しては、生活者がオンラインと実店舗を行き来しながら慎重に購買する傾向が再び確認された。とくに電化製品では、オンラインと実店舗を行き来する生活者が5.9pt増加。検討を経て購入する割合も2.7pt増加した。これは、商品スペックや詳細情報を把握した上で実物を確認することで、購買リスクを軽減したいという生活者のニーズだと分析しているという(図3)。
図3
その他、「最近の買い物に対する意識調査」では、生活者の25.5%がオンラインでの購入が増えたと回答。電通デジタルは、この結果から、デジタルチャネルが生活者との接点で重要になっていることの表れだと言及している。
注目すべきは「中古品を購入するようになった」が8.8%、「将来売却することを考えて購入する」が4.8%という結果。生活者がモノを所有することに加え、リセールへの関心も高まっていることがわかった。購入後も価値が保たれる商品を見極める行動は、生活者のリスクヘッジを考えた購買傾向の強まりを示しています(図4)。
図4
「安心して商品を買いたい」比較検討に企業サイト利用頻度が増加
リスクヘッジを考えた購買傾向が強く見られたのは電化製品。先述のような、オンラインとオフラインを行き来して比較検討する行動が目立った。さらに家電に関しては、認知・比較検討・購入の主要チャネルを考慮すると、店舗購入が昨年比15.2pt増加。購買プロセスでは、公式サイトを中心にオンラインで事前に情報を収集し、最終的に店頭で実物を確認して購入するという行動が見られた(図5)。
図5
生活者が情報収集という観点では、「企業の公式サイト」を利用する頻度が増加していることが明らかになった。2022年と比較して、認知が1.6pt、検討(最も役に立ったチャネル)が1.8ptと「企業の公式サイト」利用が伸長している(図6)。
図6
公式サイトで購入する理由としては「公式サイトだと安心だから(12.5%)」が最多。生活者は、公式サイトを通じて確かな商品情報に加えて、安全性や信頼性を求めており、ここでもリスクヘッジ購買の傾向が見て取れるとした。(図7)
図7
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