日本コカ・コーラに移籍、ポジショニングマップ策定やロケーション限定配荷に取り組む
前回までのコラムで、外資系広告会社を経て、MBA取得のための留学。現地で、ジョンソン・エンド・ジョンソンでマーケターとしての職を得て、その後、日本に戻り、ジョンソン・エンド・ジョンソン・ジャパンでブランドマネージャーとしての経験を積んできたところまでお話しました。その後、私は日本コカ・コーラに移籍します。
最初に担当したブランドは「カナダドライ」「ドクターペッパー」「シュウェップス」の3つで、2000年当時買収したばかりのブランドでした。またすでに「コカ・コーラ」で飽和状態にあった炭酸飲料のカテゴリーで、社内外の競争に勝つ必要がありました。
そこで過去の調査結果を読み込み、STP分析で社外との競合優位性を考えました。コカ・コーラをはじめとする超強力なブランド群も、その競合を含めたポジショニングマップに整理しましたが、それは非常に意味のあるものでした。
なぜこの新たな3商品が炭酸の棚に必要なのか。リテーラー向け営業担当者には、他の当社炭酸商品と棚のリプレースを起こさない明確な理由を用意しました。リテーラー用の商品は「カナダドライ」のジンジャエールが最適でした。
ちょうど世間ではペットボトルのリサイクルに対する意識が広がり始め、ジンジャエールは光を当て続けると緑色から透明になるボトルを開発していたので、シャンパンゴールド色の洗練されたラベルに変えました。「大人の炭酸」というポジショニングにより、マス広告の投資ゼロで売上が30%程度増加しました。
「ドクターペッパー」は、自動販売機の購入データが豊富にあったので、自販機が設置されている場所ごとのデータをすべてのコカ・コーラ商品と比較しました。いくつかのエリアに限って非常に多く売れていることを見つけました。そこで「この場所だけは『ドクターペッパー』を置いてほしい。(他商品の回転率の方が高いので会社として売上を最大化するため)他の場所では外してくれてよい」と依頼しました。
どのブランドマネージャーも自販機の配荷率を最大化してほしいとリクエストしますが、私はロケーション限定配荷をリクエストしました。必要なところに集中し、不必要なところでは縮小したので、限定ロケーションの販売実績だけでなく売上の全体平均も非常に高くなりました。