西武ライオンズの変革へ「広報」は絶対に欠かすことができないピースである

(3)アップデート――広報の仕事にもリカレントが必要

広報部内の仲間とコミュニケーションの一環で行うキャッチボールの様子。

3つ目のキーワードは「アップデート」です。近年のジョブ型の働き方は、企業にも、働く側の我々にもメリットがあります。

個人が得意とする領域と周辺領域の実践的なスキルがジョブ型のベースです。個の力が重要な時代だからこそ、自らを高め自己研鑽に勤しむ必要があります。国や企業もバックアップしてくれる今の時代、それを活用しない手はありません。

西武グループでもリカレントを促進するツールは用意されており、部員の仲間たちも有効活用しています。我々広報部でもスポーツ界隈だけでなく、固いものから柔らかいものまで、最新情報を常にメンバー間でシェアし、アップデートできるようにしています。

最初はメンバーも抵抗があったようですが、自らを高められる情報を手にし、仕事を通じてスキル向上の実感が湧いたことで、自らも発信者として質の良い情報をシェアするようになってきました。

余談ですが、私はこのコラムで、一緒に働くメンバーを「仲間」と書いてきました。私がこれまで仕えてきた上司も「俺の仕事を赤坂君がやってくれているんだから、感謝しかない」。そう言って、自分の時間を私たちに当ててくれました。

手駒としての部下と思わず、一緒にミッションをクリアする仲間だと思ってくれていた。そんな上司の元で働くことは楽しく、私の会社員人生を変えました。そして今、自分がその上司たちに近づけたとは思っていませんが、共に働く仲間たちが、非常に高いモチベーションで居てくれることは、これほど頼もしいことはありませんし、感謝しかありません。

(4)ライオンズらしさ――独自性と顧客から選ばれ続ける価値をつくる

4つ目のキーワードは「ライオンズらしさ」です。私が生まれた翌年の1978年に、株式会社西武ライオンズが誕生しました。幾つもの栄光と伝説を残した西鉄時代からの“ライオンズ”を受け継ぎ、1979年にNPBに参入。根本監督、広岡監督、森監督、東尾監督、伊原監督、伊東監督、渡辺監督、田辺監督、辻監督、松井監督、そして西口新監督と脈々と続き、今年で46年目、2028年には50周年を迎えます。

西武球場だった時代から、1999年のドーム化を経て、2021年には180億円をかけボールパーク化し、エンタメ、グルメ、レジャーの要素を加えました。歴史ある球団だからこそ、ファンの方々は様々なイメージを持っています。

それぞれの世代が持つイメージも大事ですが、今後は「独自性と顧客から選ばれ続ける価値(=ブランド戦略)」をしっかり創り上げていきたいと思っています。

プロ野球の最大の商品は試合を観戦いただくことです。その商品をより価値のあるものにするのは、ファンの皆さまの応援です。ライオンズらしさを、しっかりブランドに落としていきたいと思います。

「課題解決」(Solution)、「オンライン」(Online)、「アップデート」(Update)、「ライオンズらしさ」(Lions)。この魂【SOUL】が、ライオンズの再建に重要なキーファクターの一つになると思っています。魂を覚悟に変えて、ファン、選手、監督・コーチ、球団が一体となり、必ずや常勝軍団再建を成し遂げて見せます。

広報は企画力や感性も磨かなければ務まらない仕事

最後になりますが、広報は企画力や感性も磨かなければ務まらない仕事です。他業界で経験がある人にとっては、個人の裁量が大きいライオンズの広報の仕事を、このコラムを通じてご理解いただけたと思います。

「チームを支える裏方仕事」というだけでなく、チームや選手が成長していく過程を一緒に考え、実行していくというチームビルド的な楽しみ、やりがいもあります。それに前述の通り、常勝軍団再建に携われることは大変名誉なことです。

現在のライオンズ広報は、変化を恐れず日々挑戦を続けています。それを温かく見守り続けてくれている経営陣、そして会社の仲間たちにも感謝しています。このコラムを読まれた方が少しでもプロ野球やスポーツビジネスに身を置いてみたいと感じていただけたら幸いです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)
赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)

2000年コクド入社、2004年広報室へ配属、以降は西武グループ各社で広報と企画を相互に歩む。2006年プリンスホテル事業企画部広報担当、2009年に同部ゴルフ・スキー担当も兼務。2011年西武ホールディングス広報部、2018年に経営企画本部 経営戦略部。2019年に同本部 西武ラボ(新規事業創造)課長となり、2023年から西武ライオンズ 広報部長。

赤坂修平(西武ライオンズ 広報部長)

2000年コクド入社、2004年広報室へ配属、以降は西武グループ各社で広報と企画を相互に歩む。2006年プリンスホテル事業企画部広報担当、2009年に同部ゴルフ・スキー担当も兼務。2011年西武ホールディングス広報部、2018年に経営企画本部 経営戦略部。2019年に同本部 西武ラボ(新規事業創造)課長となり、2023年から西武ライオンズ 広報部長。

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