モノの機能性だけでなくコトの体験価値がマーケティング戦略上、ますます重要度を増している時代。マーケター、クリエイターは常に新しく魅力的な体験を探しています。
そんな魅力的な体験をいち早く経験できるのが、東京のレストランシーン。本記事では、「エクスペリエンス・プロデューサー」の肩書で活動する、ミリモルホールディングス代表取締役の河野貴伸氏が、いま、体験すべき!とお勧めする、クリエイター・マーケターの感性を刺激する、レストランを紹介。
店舗やメニューの紹介、そのお店の「エクスペリエンス」の何に、マーケター・クリエイターが学ぶべきポイントがあるのか、魅力を解説いただきました。
世には数多の美味しいレストランがある。特に日本は、世界でも有数の美味しいレストランが集まっている国と言えるだろう。街を歩けば美味しいものにはいくらでもありつける。しかし、マーケティング界隈、広告業界、クリエイティブ業界にいる者として、それに飽き足らず、さらなる感動や刺激を求めてしまうことはないだろうか。味覚だけではなく、五感を刺激する場。そんな体験を求める皆様に、ぜひお勧めしたいレストランをご紹介したい。
ご家族、パートナー、取引先、ご友人など、大切な方々と……様々なシーンできっと感動いただける、そして知っていたらきっと一目置かれるであろうお店をセレクトした。ぜひご堪能いただきたい。
店舗紹介
大地とのつながりを思い出させる 循環型ガストロノミー
CYCLE(スィークル/大手町)
フランスのミシュラン3つ星レストラン「ミラズール」を率いるマウロ・コラグレコ氏が手掛ける日本初のレストラン「CYCLE(スィークル)」。大手町の中心に佇む、明るくモダンな店内は、ビジネス街にありながらも、日差しが差し込む心地よい空間で、まるで都会のオアシスにいるかのような感覚を味わえる。
スィークルでは地域の食材を活用し、輸送に伴う二酸化炭素排出を可能な限り削減すること、新鮮な野菜、ハーブなどを自ら育て、大地との繋がりを感じ続けることを大切にしている。その想いが、味だけではなく料理の盛り付けにも表現されている。
サステナブルであることは口で言うのは簡単だ。しかし一方で、それを行動に移し、さらにその行動で人を感動させることはとても難しい。我々も事業を営む中で、その課題の難しさと日々対峙している。
その課題に対して、もっと肩の力を抜いて、溶け込むような感覚を提示してくれるのがスィークルの唯一無二の体験だ。一皿一皿が繊細にデザインされ、健康的でありながらも味わい深い料理は、体の中から力がみなぎる感覚を与えてくれる。日々の綺麗事に疲れた時、本当の自然体に還してくれる。そんな体験を求める方には、ぜひおすすめだ。
★Information★
●住所:東京都千代田区大手町1-2-1 Otemachi One 1F
●電話番号:03-6551-2885
●営業時間:平日 17:00~3:00 (L.O. 20:00)
週末・祝日 11:30~15:00 (L.O.13:00) / 18:00~23:00 (L.O. 20:00)
●定休日:月曜日、他不定休
●メニュー:コース料理のみ
ランチ
Nature 16,500円(税込)/ Symbiose 26,400円(税込)/ Inspiration 32,000 円(税込)
ディナー
Symbiose 26,400円(税込)/ Inspiration 35,200円(税込)
●ドリンク:
ワインペアリング:26,400円(税込)
ノンアルコールペアリング:13,200円(税込)
モダンと伝統が交差するこの場所で、五感を刺激する新たな食の冒険
TexturA(テクストゥーラ/有楽町)
「東京チャイニーズ一凛」という店名に聞き覚えのある方も多いのではないだろうか。広告業界、デザイン業界の強者たちがひしめく銀座、築地、新橋近くにある伝説的な中華料理店。そのシェフが新たなる「食体験」を生み出すべく、中華・スパニッシュ・フレンチなど、様々なジャンルの料理人たちと共に一つの厨房に集結して誕生したレストランが「TexturA(テクストゥーラ)」だ。
中華とスパニッシュという予想外の組み合わせを提案しつつ、日本の四季折々の食材を大胆に取り入れた料理は、繊細でありながらも味わい深く、訪れる度に新しい驚きをもたらす。特にコースのメニューが独特で、それだけではどんな料理が出てくるのか想像もつかない。しかし、実際に出される料理はユニークでありながらも、どこか懐かしい感覚を呼び覚ます。
特に「宝」という料理があるのだが、これは皆様にもぜひ体験していただきたい一品だ。
内装はシンプルながらも洗練されたデザインが施され、訪れる人を温かく迎え入れてくれる。特別な日のディナーはもちろん、どんなシーンでも利用できる柔軟さを備えている。モダンと伝統が交差するこの場所で、五感を刺激する新たな食の冒険をぜひ楽しんでいただきたい。
★Inforamation★
●住所:東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル 1F
●電話番号:03-6259-1144
●営業時間:
【カジュアルエリア】
ランチ 11:00~14:00
カフェ 14:00~16:30
ディナー 17:00~22:00 (L.O.21:00)
※土日祝は11:00~終日ディナーアラカルトメニューで営業
【レストランエリア】
ランチコーススタート 11:30~12:30 (close 15:00)
ディナーコーススタート 17:30~19:30 (close 22:00)
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
●メニュー:コース料理、アラカルト
【カジュアルエリア】
・ワンプレートランチ 1,650円
・プリフィックスコース 3,500円
・アラカルト 600円~
【レストランエリア】
・ランチコース6,600円
・10,000円コース
・12,000円コース
・15,000円コース
五臓六腑にしみわたるような滋味深い美味しさ
KOMB(こんぶ/神楽坂)
撮影:山田薫
大人の食を語る上では避けて通れない神楽坂。その趣ある街並みに静かに溶け込む「KOMB」は、レストラン兼アトリエ。アトリエと聞くと、とてもアーティスティックで人を寄せ付けないように感じられるかもしれないが、「KOMB」は全く逆で、店構えからして優しさに溢れている。店名にある「KOMB」は昆布に由来しており、旬の食材をお客様の目の前で調理し、変化していく食材の表情や出来立ての香りをダイレクトに楽しめる。料理一つ一つはどこか懐かしさと安心感に満ち溢れているのだが、味は予想を遥かに超えた感動を与えてくれる。
昔食べたことのある、この料理、こんなに美味しかったっけ?と記憶が混乱するくらい、身近な料理が徹底的に磨かれている。加えて、料理ごとにセレクトされている和食器が素晴らしい。五臓六腑にしみわたるような滋味深い美味しさが、懐かしさと共に押し寄せてくる。
店内は木を基調とした落ち着いた雰囲気で、静かな時間が流れ、心地よい空間が広がる。大切な人との特別な時間を過ごしたい時、あるいは疲れた自分への癒しとして訪れるのにぴったりの場所と言えるだろう。
神楽坂という歴史と伝統の街にぴったりの「KOMB」で、至高の和食を体験し、忘れられない食の旅に出かけてみてほしい。
★Information★
●住所:東京都新宿区若宮町5
●電話番号:03-3528-9894
●営業時間:
平日 19:00~
土曜日 12:00~ 18:00~
●定休日:他不定休
●メニュー:
コース料理、一品料理
コース料金 18,000円〜20,000円(月決め)
●ドリンク:ビール・ワイン・日本酒・数種の有機茶
「日本のタイ」と言うべき不思議な空間への誘い
thalee ling(タレーリン/代々木上原)
代々木上原の閑静な住宅街に佇む「thalee ling」は、日本各地から厳選された魚介類や食材をタイ料理の技法で大胆に調理する、新感覚のレストラン。タイの伝統的なスパイスやハーブを使用しながらも、日本の新鮮な海の幸をふんだんに取り入れた料理は、エキゾチックでありながらも親しみやすく、訪れる人々の心と舌を魅了する。
日本人だからこそ表現できる、日本の四季の食材を取り入れた“japa-thai”をコンセプトとし、フランス料理の技法を用いて表現する、新しいタイ料理の世界。これだけでもお腹が空いてくるが、「thalee ling」のもう一つの大きな魅力はレストランの内装。店内は落ち着いていて、でもどこか喧騒を感じさせる、決して静かすぎない不思議な安心感があるのだ。特にカウンター席はまるで厨房にお邪魔してそこで直接食事しているかのような不思議な感覚にさせてくれる。
タイ料理の定番に、新鮮な日本の魚介を使用することで生まれる独自の味わいは、一度食べたら忘れられない印象を残す。例えば、旬の魚を使ったゲーンソムは、タイのスパイシーな味わいと日本の魚の旨味が絶妙に調和し、まるで東南アジアに旅したかのような体験が広がるのだ。
「thalee ling」は、料理、内装すべてで「日本のタイ」と言うべき不思議な空間へ誘ってくれる。美味しいだけでなく、世界観にどっぷり浸かって、小旅行に出かけてみてはいかがだろうか?
★Information★
●住所:東京都渋谷区元代々木町16-16 今井ビル1F
●電話番号:050-5447-0811
●営業時間:
【LUNCH】
土日祝 11:30~15:00(最終入店時間 13:30)
【DINNER】
月~金 17:30~23:00(最終入店時間 20:30)
土日祝 17:00~22:30(最終入店時間 20:00)
平日はディナータイムのみの営業。
●定休日:不定休(基本的には毎週水曜日、及び隔週火曜日がお休み)
●メニュー:コース料理
5,500円のコース / 8,500円のコース
●ドリンク:ワインペアリング(5,500円のコース 6杯5,000 円 / 8,500円のコース 8杯7,000円
その他、ビール、ワイン、カクテル、ノンアルコールドリンク
摩天楼の最上階にある「大人の遊び場」
KEI Collection PARIS(虎ノ門)
フランス版ミシュランガイドでアジア人初の3つ星を獲得した小林圭氏が”大人の遊び場”をコンセプトに、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」内、TOKYO NODEの49階にオープンしたレストラン。
フランス料理と聞くと、畏まった、完璧に設計されたコース料理を想像される方も多いかと思うが、ここはなんとアラカルトが基本なのだ。その日の気分で様々な料理の中から組み合わせて、自分の求めるコースをオートクチュールで創る楽しさ。初めて伺うと少し難易度が高く感じてしまうかもしれないが、そこはもう恐れず、恥ずかしがらずに思いっきり楽しんでしまうのが吉。それこそが「遊び場」と言われるゆえんなのだ。
そしてこのレストランは「グリルガストロノミー」。国内外のベストな食材を見極めて仕入れ、食材の味を極限まで引き出すべく、“火を入れること”を意味する“グリル”に徹底的にこだわっている。カウンター席からは、職人の如く火と向き合うシェフたちの勇姿を眺めることができ、料理はまるで芸術作品のようであり、目でも舌でも楽しむことができる特別な体験を提供する。
一方でテーブル席は、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー49階の絶景を楽しみながら、静かにお酒と料理を楽しむことができる。そして料理を楽しんだ後は隣のバーに移動して、こだわりのカクテルを楽しむこともできるのだ。
KEI Collection PARISは、コンセプトにある通り「大人の遊び場」である。オートクチュールで組み立てられる体験は、まるでイマーシブシアターのように心を引き込み、没入させる。日々「体験」を仕掛ける側になることが多い我々だからこそ、たまにはどっぷりと「仕掛けられる側」になってみるのも一興ではないだろうか?
★Infomation★
●住所:東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー TOKYO NODE 49F
●営業時間:
RESTAURANT 17:30~23:00(L.O. 21:30)
BAR 【木〜土】17:30~26:00(FOOD L.O.25:00 / DRINK L.O.25:30)
【日・月】17:30~24:30(FOOD L.O.23:00 / DRINK L.O.24:00)
※営業日は変更になる場合があります。
●定休日:火曜日、水曜日
●メニュー:アラカルトのみ
著者プロフィール
【この記事を読んだ人に】宣伝会議おすすめ講座
顧客を理解し”選ばれるブランド”を体現する技術を学ぶ
顧客体験デザイン実践講座
優れたブランドは顧客と素晴らしい体験を共有し、長期にわたり生活者と繋がり続け、必要不可欠な存在へと持続的に成長し続ける循環を実現しています。
この循環のエンジンとなるのが、まさに本講座でテーマとして扱う「顧客体験」です。ブランドを通した顧客体験をデザインすることの重要性は説かれているものの、実際にマーケターやデザイナーはどのように考え、どのようなプロセスを経て顧客体験をつくりあげていくべきか。
表立って語られることの少ない顧客体験のデザインを起点としたブランド戦略の裏側を「デザイン戦略・認知施策・体験デザイン・LTV向上」の4つの視点から体系化。実際の事例をもとに18名のトップクリエイターがその技術を公開します。
<講座概要>
◯受講形式:オンデマンド形式
◯受講講座:18講座
◯申込形式:(1)個人申込み (2)法人申込み どちらでも可
◯受講期間:申込みから6か月間