組織は自分を必要としているか、自分もその組織を求めているか

──東証プライム上場のグローバル企業の広報としてもプレッシャーもありましたよね。

でも、これもきっと何かの縁だと思い、心を決めました。採用活動をやるにしても、企業の知名度の低さ、つまり企業全体の広報活動が課題であることは明らかでしたから。

──企業広報の強化に向けて、まず何から着手したのですか。

まずは、広報のメンバーと面談し「何に困っているか、何に悩んでいるか」を率直に聞きました。すると、「広報としての明確な軸がない」という意見がすごく出てきて。広報の軸やミッションが定まっていなかったので、上から言われることをそのままやるだけになってしまったり、アイデアを出しても実施可否の判断軸がないなと。

だから、私が最初にやるべきことは明確な広報の軸や戦略をつくること。それを基軸にメンバーが主体となって具体的な施策を考え、自律的に行動していける組織に変えていくことでした。

──広報経験がない中、どうやって?

私をはじめ、メンバーにも広報の未経験が多い中で、外部の広報のプロフェッショナルの方にサポートいただくことにしました。的外れな戦略をつくってしまったら、メンバーを混乱させるだけですから、広報の知見を持ち、かつ客観的にアドバイスしてくださる方が必要でした。自分で探してきた外部の広報のプロフェッショナルの方に相談をしながら、「当社は何のために広報をするのか」、「ステークホルダーは誰か」、「その人たちとどういう関係性を築き、何を伝えていくのか」など、一つひとつ明文化していきました。

写真 人物 キャリアコンサルタント・荒川直哉氏

──コーポレートコミュニケーション室長に就任して、2年ほどですが、すでに感じている手応えはありますか。

ステークホルダーの気持ちに立ち、相手が何を考え、どんな情報を必要としているのか、徹底的なステークホルダー目線に立って考えるようになりました。例えば企業CMを流すにしても、広報戦略を基軸とし、自分たちで考えて、ターゲットの動きに合わせて露出を集中させたり、ターゲットの認知度と好感度を上げるような出し方をしたり。サッカーワールドカップに合わせて初めてデジタル広告を出したときは、関東や関西での認知度が大幅に上がりました。

統合報告書についても、ステークホルダーの皆さんがどういう情報を求めていて、どのくらいの情報量であればわかりやすく読みやすいのかを意識してつくるようになり、「日経統合報告書アワード」で優秀賞も頂くことができました。

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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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