コピー1本で評価されるからこそ面白い!「宣伝会議賞」シルバー受賞者座談会

「広告」そのものの面白さも楽しめる

━━初めて「宣伝会議賞」に取り組む方に向けて、アドバイスはありますか。

村木:今回はひとつの課題に集中したのですが…とにかくたくさん出そうと取り組むことは、重要だと考えています。「たくさん書く」という気持ちがあるからこそ、新しい切り口を見つけるために、自分のアンテナも広がる気がするからです。

児玉:私自身も「てにをは」の違いとか、言い方の気持ちよさだけを検証してしまいがちだったのですが、切り口をたくさん出すことに時間をかけた方がよいのだと実感しました。ひとつの課題に対して、どれだけきれいに、魅力的に見えるカメラのアングルを見つけられるか。一カ所で試行錯誤するよりも、あちこち視点を切り替えてハンティングしていくことが大切なのかなと思います。

見田:自分が普段、感じていること、疑問に思ったことは何でも書き留めておくのも良いと思います。例えばSNSを見て、この人はなんでこんなことを思っているのだろう、とか。

今回、受賞した動画広告の「タイムリープ篇」(TOPPANエッジ「“AIRPOST”を検索したくなる、『動画広告内でキャラクターが言うセリフ』のアイデア」)も、手続きの中で“何回同じこと入力させられるんだ”という不快感が自分の心の中にあったり、応募期間前にたまたま読んでいたタイムリープもののマンガのタイトルをメモしていたり。いざ課題が出たときに、書き留めていたことと照らし合わせてみる意識があると、新しい解決方法や価値観が生まれるきっかけになる。コピーを書いていない普段の生活で感じることを、コピーを書く時に大切にするようにしています。

河井:私もまだ2回目なので偉そうなことは言えないのですが…「How to say」ばかり考えていてはいけないということですかね。初めて参加したときは、表現のかっこよさにばかり気を取られてしまっていたので、新しい発見やそもそも何を言いたいかということを疎かにしてしまっていました。まずは「What to say」をしっかり考えることが大切だと思います。

:今回の受賞作は、その課題で1本だけ提出したものでした。意外と、難しいことをあれこれ考えずに、本能的に出たコピーを大切にするのもよいのかなと思ったり。しかも今年は一次通過が1本だけだったので、落ち込んでいましたが、その1本がシルバーまで行ってくれました。

「宣伝会議賞」は何があるかわからないなと思います。そして「宣伝会議賞」の応募作品には、一つひとつにアイデアが凝縮されている。そういう「広告」そのものの面白さも、楽しめるところだと思います。

:実際にやってみて、自分の書いた言葉を人に見てもらうことが大切なのだと感じました。公募であっても、最終的にコピーは誰かが見るもの。他の人にアドバイスをもらうことで初めて見えてくるものはあるので、先輩にすぐに聞ける環境はありがたかったです。

それと、コピーを書く時に意識していたのは、いろいろな人の頭を借りるということでした。私自身は子育ての経験はありません。受賞した「こんなにかわいいのに、こんなにわからない。」(赤ちゃん本舗「アカチャンホンポならではの取り組みや魅力を伝えるアイデア」)は、若い母親の視点で書いたものなんです。自分ではない誰かになりきって書くと、いろいろな視点が見つかるのかなと思います。
 
 
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