※本記事は、月刊『宣伝会議』11月号の巻頭特集に掲載されています。
エンタテインメントの主役としての「ゲーム」
Newzoo社が2022年に行った調査によれば、2010年以降に生まれたα世代の42%がゲームを経験していると報告されており、特にアジア太平洋地域では、全世界のeスポーツ愛好者の61%にあたる1億6000万人が、月に何度もeスポーツコンテンツに触れています(Newzoo’s Consumer Insights Games & Esports 2022)。
かつて「ゲーマー」と言われ、ニッチな存在と見なされていた時代から、ゲームは今や世界の人々にとっての主流文化になり、日常的な娯楽の一部として定着しています。この普及はブランドがマーケティング戦略を再考するきっかけとなり、若者に特に人気のあるこのエンタテインメント形式に焦点を合わせるようになりました。
【図1】 仕事以外に1週間で各エンタテインメントに費やしている時間(世代別)
出典/「Newzoo’s Consumer Insights Games & Esports 2022」
企業やブランドとゲームの密接な関係
それでは、企業やブランドがゲームに注目するようになった背景を振り返ってみましょう。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、インターネットとデジタルコンテンツの普及により、ゲームは世界的に人気を博しました。この時代に「誰もが知っている」キャラクターたちが登場し、「スーパーマリオ」「ポケットモンスター」などのヒットIPの人気が確立されます。
広告主は新聞やテレビCMだけでなく、インタラクティブでエンゲージメント性の高いゲームプラットフォームに目を向け、これまでにない方法で若者たちとの関係を築き始めました。ゲーム内でのアクティビティは、消費者がブランド体験を共有し、ファンダムを通じて商品を推奨する行動を促します。
テクノロジーの進化と配信プラットフォームの登場
2010年代には、ストリーミングなど、インターネット技術の進化が、新たなプラットフォームの登場を促し、YouTubeライブやTwitchなどのサービスが、「ゲーム実況」文化を普及させました。これにより、いわゆる「実況カルチャー」が生まれ、実況者がオンラインでゲームの魅力を伝える新たなキュレーターとしての役割を担うようになりました。この流れは、ゲームが単なるプレイの場から、情報交換と社交の場としての役割を果たすように変化することを促したと言えます。
~~~(中略)~~~
ナイキやグッチなどブランディングの革新事例
ここからは近年のゲームにおけるブランディングの成功例を見ていきます。ナイキ、バドワイザーなど、先進的なブランディングが得意な企業から、グッチやルイ・ヴィトンのようなラグジュアリーブランドも、ゲームというプラットフォームを活用して、ユニークなマーケティング戦略を展開しています。
ナイキは2021年11月、Roblox上に「NIKELAND」というメタバース空間を創設し、仮想世界での製品体験を通じて若年層との繋がりを強化しました。ここではスマートフォンの加速度計を活用して実際のユーザーの動きをアバターに反映させ、リアルタイムでインタラクティブな体験を提供しています。「ゲームをさせる」以上に、「ゲームを通して体を動かすきっかけをつくりたい」というナイキの意思が伝わってきます。
「NIKELAND」の建物やフィールドは実際のナイキ本社から着想を得、プレイヤーのアバターにはナイキ製品を身に着けられるようにした(画像:ナイキWebサイトより)。
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