※本記事は月刊『宣伝会議』2024年11月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。
2029年に創刊150年を迎える朝日新聞社。2011年の「朝日新聞デジタル」の開始を皮切りに、デジタルの取り組みを強化。特に昨今は、多くのバーティカルメディアを運営し、新聞のマスリーチと組み合わせたターゲティングの提案を強化している。
こうした動きに合わせて広告セールスの現場におけるデジタル提案も強化。同社・執行役員メディア事業担当兼メディア事業本部長の戸辺久之氏は「2016年から広告営業を担当する部員全員にウェブ解析士資格の取得を奨励するなど、企業のコミュニケーション課題をヒアリングし、新聞広告に限らない提案ができる体制を整えてきた」と説明する。
加えて、前述のオンラインを主戦場とするバーティカルメディアなどを通じて、読者との接点が拡大。ID取得も進むなかで、同社保有の1st Partyデータを活用した企業に対するマーケティング支援も強化してきた。
例えば、象徴的なのがデータソリューション・プラットフォーム「Asahi Data Solution SYNC TANK(A-TANK)」だ。
「当社では600万を超える朝日ID会員の属性と、各種メディア・サービスを通じたWeb上の行動情報、購買履歴などの情報を保有している。2022年には、ぴあの子会社でデータマーケティング事業を手がけるぴあネクストスコープと共同で新会社『ぴあ朝日ネクストスコープPANX』を立ち上げた。両社が持つ多様なデータを使って広告・マーケティング事業などを展開、商品開発も行っている」(戸辺氏)。
戸辺氏が管轄するメディア事業本部は広告営業部隊に加え、展覧会や知財などの事業部門も所属する800名程度が在籍する大所帯。例えば、新聞社が持つ膨大な記事データと校正履歴を学習させた文章校正AI「Typoless(タイポレス)」も同部門で開発・提供する。
「当部門には多くのエンジニアが在籍し、AIエンジンを自社で開発している。文章を扱う広報部門などに、『Typoless』をぜひ試していただきたい。今後も広告の提案に限らず、企業の課題解決やコミュニケーション活動をサポートするソリューションを開発・提案していきたい。まもなく150年を迎える当社が築き上げてきたブランド価値を活用し、次なる提案の形を考えたい」と今後の展望を語った。
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