【対談】東急電鉄のSNS戦略 コロナ禍を経たビジネスとコミュニケーションの変容

SNS運用のPDCAサイクルとKPI設定

武内:今のSNS運用の方針ですと、沿線にお住まいの方々の感情を動かしていく狙いがあるかと思いますが、日々のPDCAの回し方やKPI設定の仕方についてもお伺いできますか。

矢澤:もともとInstagramアカウントのフォロワー数は1.2万人ほどで推移していて、同業の中では平均的でした。

フォロワー数自体で正解があるわけではないと思うので、NAVICUSから色々な指標を教わりながら、単なるいいね!だけでなく保存の数やコメント欄の反響など、リーチした方々の反応を見ていく手法で分析をしています。以降、半年間で3割ほどに当たる約4000人のフォロワー増加がみられています。

武内:フォロワーの増やし方については、よく我々は2つの観点で質問をいただきます。一つは純粋に「どうやったら数が増やせるか」。もう一つは「どの増やし方までが妥当なのか」。ある意味、プレゼントキャンペーンをバンバン実施して無作為に1万人2万人と増やすことは可能ですが、それを良しとしない場合も多いかと思います。東急電鉄の場合、フォロワーの集め方のポリシーはいかがでしょうか。

矢澤:ご指摘の通り、闇雲に数を追っていくものではないと思っています。当社の沿線でアクティブに動いていただける方の数を地道に増やしていきたいと考えており、どのエリアの紹介をした時にどんな属性の方が反応してくれたかを見て、マーケティングの種として捉えています。今後でいうと、Q SKIPというデジタルチケッティングのサービス(乗車券や施設入場券がスマートフォンで購入・利用できるサービス)があるので、そういったお客さまの反応をもとにしたデジタルチケッティングを商品化するなど取り組めても良いのではと考えています。

また、特に若い世代への発信が重要だと感じています。

日本生産性本部の調査によれば、首都圏近郊の鉄道の中で、東急電鉄が顧客満足度ナンバーワンを獲得しており、内訳を見ていくと、比較的高齢の男性と女性の評価が高いです。一方、年齢が下がっていくと低評価ではなく無回答が増える。実際、沿線はやや高級な街が多くなっており、ファミリー層が好む街が減っている。

そういった状況に対して、関心が薄い層に「ちょっと高いけど住みやすい」と思っていただくため、安全・安心、快適さ、そして新幹線へのアクセスの良さといった利便性、世代に合わせた情報を届けていければと思っています。そのためには従来手法のマスメディアだけでなく、SNSなどでのコミュニケーションで届けていく必要性を感じています。

武内:ありがとうございます。今後のためにも非常に重要な領域ですね。若年層に向けたアプローチについては、後編でも引き続きお伺いさせていただきたいです。

(後編に続く)
対談の後編では、若年層へのアプローチで取り組まれている社内アンバサダー制度について、前提課題と施策状況、今後の展望についてお伝えいたします。11月7日の公開をお楽しみに!

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武内 一矢(NAVICUS 代表取締役)
武内 一矢(NAVICUS 代表取締役)

早稲田大学卒業後、Q&AコミュニティサービスOKWAVEを運営するオウケイウェイヴに入社。X(当時:Twitter)などSNSを活用した企画を担当。その後、ディー・エヌ・エー、ふるさと納税ポータルサイト大手「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクなどを経て、2018年、コミュニティ・SNSマーケティング支援を行うNAVICUS(ナビカス)を設立、代表取締役に就任。2022年10月、九州を中心にWebマーケティング支援を行うNAVICUS九州のCMOに就任。2023年12月よりPR TIMESのグループ会社となり、広報面のサポートも加えた幅広いコミュニケーション支援体制構築に向け邁進中。

武内 一矢(NAVICUS 代表取締役)

早稲田大学卒業後、Q&AコミュニティサービスOKWAVEを運営するオウケイウェイヴに入社。X(当時:Twitter)などSNSを活用した企画を担当。その後、ディー・エヌ・エー、ふるさと納税ポータルサイト大手「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクなどを経て、2018年、コミュニティ・SNSマーケティング支援を行うNAVICUS(ナビカス)を設立、代表取締役に就任。2022年10月、九州を中心にWebマーケティング支援を行うNAVICUS九州のCMOに就任。2023年12月よりPR TIMESのグループ会社となり、広報面のサポートも加えた幅広いコミュニケーション支援体制構築に向け邁進中。

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