ブランドの15年を支える軸は味とパッケージにあり
──ヒット商品には意外な開発背景があったのですね。今もヒットし続けている「QBBチーズデザート6P」ならではの強みは何でしょうか。
チーズ商品の中でも、幅広い世代の方に購入いただいているという点です。
というのも、チーズ市場の主要な購買層は、40代から60代だといわれています。しかしその一方で、当社のチーズデザートは20代から30代の若年層にも多く買っていただいています。
また、スイーツやデザートが好きな開発者がこだわり抜いて設計されている商品であることも大事な強みです。例えば、くちどけ具合に影響する配合や水分量の調整、果肉の入れ方まで。開発者の熱意がたっぷり詰まっている商品だと思っています。
──2009年の発売からこれまで、どのようなプロモーションを行ってきたのでしょうか。
発売から15年間にわたり、CMや消費者キャンペーンなど、多様な施策を展開してきました。もちろん、これらの施策も重要ですが、私たちが特に重視しているのは、商品を開発する時点で生じる2つの要素です。
まずは、消費者を飽きさせない豊富なフレーバー展開。季節限定品を含めて、常時10種類前後を展開していますが、「トレンドを先取りした風味」や「時代の先を行くフレーバー」を提供することで、お客さまに幅広い味を楽しんでいただけるようにしています。
例えば、2017年に発売した「福岡県産あまおう苺」は、イチゴブームが到来する前に発売することができました。おかげで多くの方に楽しんでいただくことができた商品となりましたね。
商品はクリームチーズをベースに、季節の素材やこだわりのフレーバーを組み合わせている。季節ごとに多種多様なフレーバーを展開し、好みに合わせて購入できるのが人気の理由の一つだという。また、季節限定商品のクラウンメロンフレーバーには、メロンの風味をしっかり味わえるよう、クラウンメロンピューレ・ダイスをメロン分中45%以上使用。桃フレーバーでは、集めるのが困難な国産の桃原料を発売の1年前から確保するなど、使用原料にもこだわりを見せている。
もう1つ重視しているのは、フレーバー展開と合わせたパッケージ戦略です。商品の魅力を最大限に引き出すためには、パッケージもまた大切な要素となります。
商品を発売した15年前は、甘いフレーバー、かつ6ピース入りのチーズという商品は珍しいものでした。そのため、店頭でも「しょっぱいチーズ」「デザートには見えない」と認識されてしまう懸念があったのです。
そのため、デザートチーズの可能性を引き出すには、消費者の「チーズ売り場に甘いチーズはない」という意識を変え、商品の価値をしっかりと伝えるパッケージが必要不可欠でした。
そこで、発売当初に採用したパッケージが、既存のチーズ製品にはない、明るさとかわいらしさを重視したものです。実際に「冷蔵庫に入っているだけで気分が上がる」という声をいただくことも多く、パッケージの力の大きさを実感しました。
現在も、季節限定のフレーバーにはその季節に合わせたフルーツなどのデザインを施し、消費者に「今だけ」の特別感を提供することで、売り場での訴求を図っています。
かわいらしいデザインで、フレッシュな雰囲気を醸し出すパッケージのレパートリー。発売当初、他社のチーズ製品とは一線を画す明るくポップなパッケージデザインだったこともあり、チーズ市場に新風を吹き込み、新規顧客層の獲得につながった。また、季節限定商品も使用フルーツを前面に出したデザイン展開で消費者の飽きを防ぎ、継続的な購買を促進。今後は、新フレーバーの発売に合わせて、さらなるパッケージデザインの刷新を図る予定だ。
──長年のこだわりが実り、10年間で販売個数は約10倍を達成しました。ヒットの最大の要因は何でしょうか。
何よりも、現代のニーズにマッチした商品であるということだと思います。商品をヒットに導いた消費者のニーズには、大きく分けて3つの要素があると考えています。
まずは、……
本記事の続きは月刊『販促会議』10月号にてお読みいただけます。
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