エビデンスに基づいたマーケティングの浸透目指す 研究団体を立ち上げ

客観的な裏付けや根拠に基づいたマーケティングの法則や実務課題への解決策を研究する一般社団法人「日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)」の設立が10月23日に発表された。日本の市場に即した成長法則を見出し、広く社会に還元する狙い。

代表理事には三井住友海上火災保険の木田浩理CMO・CXマーケティング戦略部長、研究統括にはマーケティングサイエンティストでコレクシア執行役員の芹澤連氏が就いた。都内で同日開かれた発表会には2人のほか、アドバイザリーボードを務める田中洋・中央大学名誉教授と、購買データを用いた研究などで協力するカタリナマーケティングジャパンの松田伊三雄取締役副社長が出席した。

写真 人物 代表理事に就任した三井住友海上火災保険の木田浩理氏

代表理事に就任した三井住友海上火災保険の木田浩理氏

事業会社のCMO(マーケティング責任者)らによる評議員らが研究テーマの起案や研究成果の評価を行い、分科会でテーマごとに研究を行う。研究テーマは「CEP(カテゴリーエントリーポイント)の見つけ方、優先順位のつけ方」「メンタルアベイラビリティの測定方法とPDCA」「カテゴリー別のボリューム戦略&マージン戦略」などを例示し、複数立ち上げていくという。実証研究などを通じて評議会が認めた研究成果は「公認エビデンス」として公表する。

自社商品やブランドを持つ事業会社を対象に法人会員を募るほか、マーケティング支援会社などノウハウやデータなどを持つ会社には研究分科会への参加、事業会社のCMOクラスには評議員への参加を促す。実証研究のほか、講座やカンファレンスの開催も予定している。

代表理事に就いた木田氏は「自然科学や医療などの分野ではエビデンスベースで語られるのが普通だが、マーケティングの分野ではそれが当たり前ではなかった。成功例がストーリーで語られるなど、再現性がないことが多い」と設立に至った経緯を説明。「実証研究を通じて、商品開発や広告コミュニケーション、売り場、CXなどあらゆるところでエビデンスベーストマーケティングを浸透させていきたい。様々な知見を集め、個人では解決できない課題に取り組んでいく」と抱負を述べた。

書籍『戦略ごっこ』の著者でエビデンスベーストマーケティングを提唱してきた芹澤氏は、「マーケティングサイエンスに長く携わってきた立場からすると、統計学やデータなどを通じて見てきたことと、会議室で語られるマーケティングとの間にずいぶん乖離があり、もやもやすることがあった。この組織を通じて、日本ならではのエビデンスや、カテゴリーごとの成長法則を見つけていきたい。海外の先行研究を日本に紹介するようなこともしていきたい」と意気込みを述べた。

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