行動範囲や生活圏に基づいたターゲティングを実現
スマートニュースが2024年3月に提供開始した「SmartNews Hyper Local Ads」(スマートニュース・ハイパー・ローカル・アズ)は、位置情報広告ベンダーのジオロジック(2021年10月に完全子会社化)と共同開発した広告商品だ。ユーザーのスマートフォンが発するGPSの位置情報を基にターゲティングし、ニュースアプリ「SmartNews」に広告配信を行うもので、ユーザーの行動範囲や生活圏に基づいた、精度の高いターゲティングが可能になった。
スマートニュースとジオロジックが共同開発
スマートニュースの今治和也氏(広告代理店第二事業部 事業本部長)は、「SmartNews Hyper Local Ads」の開発背景について次のように語る。
「『SmartNews』はこれまで多くのクライアントにご支持をいただき、ブランド広告からダイレクトレスポンス広告まで幅広く展開してきました。その中で、地域に根差したビジネスを展開する企業からは、『もっと精度を上げて来店を促進したい』『市区町村単位のターゲティングでは範囲が広すぎる』といった要望が多く寄せられていました。『SmartNews Hyper Local Ads』は、そのようなニーズにお応えするために生まれました」
スマートニュース 広告代理店第二事業部 事業本部長 今治和也氏
メートル単位で配信エリアを設定可能
これまでスマートニュースが提供してきた「SmartNews Standard Ads」は、ユーザーがアプリに登録した情報や記事閲覧傾向から推定されたデータソースをもとに、都道府県や市区町村などの行政区画のレベルでエリアを設定して配信していた。
一方、「SmartNews Hyper Local Ads」では、ユーザーのリアル行動に基づくGPS情報がデータソースとなるため、エリアの設定粒度は任意地点を中心とした半径をメートル単位で設定できる。それにより、「今いる人」「過去に訪問した人」「生活拠点を持つと推定される人」に向けた広告配信を行うことができる。つまり、特定の店舗の周辺に頻繁に訪れるユーザーや、特定の鉄道路線を利用しているユーザーなど、より精度の高いターゲティングができることが最大の特徴だ。
「例えば、同じ大型商業施設でも、都市型の施設であれば『店舗を中心とした2~3キロ圏内に訪問した人』『アクセスに利用される鉄道路線を指定』といったターゲティングができるようになりました。郊外型の施設であれば『店舗を中心とした5キロ圏内に訪問した人、もしくは居住をしている人』という車社会を意識した広域なエリア指定が効果的です。このように、訴求対象地点の地域特性に合わせた配信の設定が可能です」(今治氏)
「SmartNews Hyper Local Ads」のターゲティングメニュー
このほか、学習塾やフィットネスジムなどのフランチャイズビジネスを展開している企業をはじめ、実店舗でサービスを提供している企業であれば、店舗周辺の居住者にピンポイントで配信できるほか、各店舗の商圏に合わせた広告メッセージやクリエイティブを出し分けることもできる。クリーニング店など近隣で複数店舗を運営している場合などは、加盟店ごとに配信エリアが被らないように設定して配信することもできる。
小売店と連携した販促を行うメーカーであれば、棚取り施策を行うブランドチェーンや特約店などの販売店舗の日常的な利用者や店舗周辺ユーザーに配信することで、商品認知を向上させるとともに、店舗への来店を促すこともできる。位置情報でターゲティングを行うことで、広告の無駄打ちを減らすことにもつながる。
「『SmartNews Hyper Local Ads』は、ユーザーの行動範囲や生活圏に紐づけた配信が可能になるため、店舗への来店促進から、実際の送客に至るコンバージョンまで実現できる点が大きな特徴です。広告宣伝費が縮小傾向にあると言われていますが、販促費はむしろ増加傾向にあります。今回の『SmartNews Hyper Local Ads』は、まさに販促活動の最後のピースを埋めることができる広告プロダクトではないかと考えています」(今治氏)
クリック率UPの鍵は「地域名」にあり
さらに、交通広告やOOH、ポスティングなどのオフライン広告との掛け合わせも効果的だ。近年は、新聞の購読率低下やセキュリティ上の理由からポスティングができないマンションが増えているが、「SmartNews Hyper Local Ads」は半径指定などによる狭域の配信が可能なため、チラシや紙媒体の補完・代替施策としても期待できる。
SmartNewsには「雨雲レーダー」や「店舗で使えるクーポン」、「地域情報チャンネル」といった位置情報と親和性の高いコンテンツが充実しており、そもそも位置情報マーケティングとの親和性は高い媒体でもある。そのような背景もあり「SmartNews Hyper Local Ads」は、特に地方の広告会社からの問い合わせが多く寄せられており、「ローカルなエリアほど高いニーズがあるプロダクトであることを実感しています」と今治氏は強調する。
広告コンテンツの可能性も広がりそうだ。ジオロジックの野口航社長によると、「SmartNews Hyper Local Ads」で配信した広告素材に地域名や店舗名が入っているかどうかで、クリック率に大きな差が出る傾向があるという。
ジオロジック 代表取締役社長 野口航 氏
「ユーザーは、自分の住んでいる地域や勤務している地域の店舗名が入った広告を見ると、自分ごと化して『この店気になっていたんだよね』と目に留まりやすくなるようです。『SmartNews』は、ローカルニュースや天気予報といった『自分の生活圏内の情報をより適切なタイミングで取りたい』と考えるユーザーが多く利用しています。こういった方々の目に、地域に根ざした店舗の広告が自然と入ってくることで、高い広告効果を生み出していると考えています」(野口氏)
店舗や教育機関、旅行・レジャーから不動産のプロモーションまで、今後様々なシーンでの活用事例が広がりそうだ。
今治氏は「エリアを限定した広告メニューは他媒体でも展開されていますが、販促領域において予約や来店などの送客につながる広告プロダクトだと自負しています。プロモーションに課題を感じている広告主や代理店の方はぜひご相談ください」と呼びかけた。