広告制作会社の生成AI活用状況を調査
日本広告制作協会(OAC)が、全国の制作会社を対象にアンケートを実施したところ、広告制作現場で生成AIの活用が広がっていることが分かった。回答企業の約7割が生成AIを利用しており、主に「必要情報の入手」「企画案のアイデア出し」「コピーライティング」などに役立てている。作業効率の向上につながる一方、用途や使用条件を限定するなど、制限を設けている企業も多く、著作権侵害などへの懸念も見られる。
OACが実施した広告制作会社を対象にしたアンケート結果
アンケートの実施期間は8月5日~9月6日。送付数は467社(二次元コード・Web回答方式)で22社から回答があった。アンケートでは生成AIの使用状況について訪ねたところ、68%が活用していると回答。活用している生成AIは「ChatGPT」が最も多く、次いで「Adobe Firefly」だった。
用途としては「必要情報の入手」「企画案のアイデア出し」「コピーライティング」が多かった。「必要パーツの制作」に使用するケースも見られた一方、「プレゼン用デザイン」「プログラミング・コーディング」と回答した企業はわずかだった。
同協会の会員に向けた調査結果でも8割がすでに活用しており、全国調査との差は少なかった。利用企業はグラフィック以外に、Webや映像なども扱っていることが多く、これらの用途での需要が今後も高まると見られる。現在は活用していない企業でも、今後のためにテストしたいなどの意見が出ており、生成AIへの興味関心は高い。
三上峰生事務局長は「業務効率の改善だけでなく、課題の本質を探る際のアイデア出しなど、経験の少ないデザイナーやコピーライターにとってのアシスタントの役割を果たす」と期待を寄せている。プレゼンのカンプ制作なども、ある程度までAIに作業を任せ、後で人の手を加えていく使い方が考えられる。Webなどの画像制作でも、いくつもの似たような画像を用いたABテストを通じて最適な画像を選択することが、今以上に容易になると見ている。
使用企業からも「作業・オペレーションの作業効率UPにつながることでは積極的に活用したい」「非常に助かっている」という肯定意見が上がった。一方、「クライアントは使用しても、業界としては参考資料程度にしか利用しない」「効率は上がるがエビデンスが必要な時はあまり使用しない」など用途や効果を限定的に捉える意見も目立った。