著作権侵害を懸念する意見も
「現状、弊社の事業の売上に貢献する活用方法が見込めていない」「利用方法のルールづくりが必要」など現状の生成AIに否定的な声もあり、「会社として生成AIの使用に制限等を設けているか」という設問では、「あくまでヒントとして使用すること」「出てきた内容をそのまま使用しないこと」と回答した企業が多かった。
三上事務局長は「従来もクリエイターは、著作権などには充分注意を払ってきた。万一の事態が起こった際は、クライアントにも迷惑が掛かり、制作会社にも被害が及ぶ」とし、用途に制限を加える企業について「当然の帰結」としている。著作権の課題以外にも「課題の本質に沿った表現に落とし込めているか」といった点に気を配る必要もあり、「表現の前段階をしっかり考えているクリエイターやデザイナーならば、出てきたものをそのまま使用することはまずないのではないか」と話した。
現状の生成AIは課題や懸念点が残されているものの、三上事務局長は「写植・版下の時代から、PCでの制作に代わったように、AIを用いた制作が当たり前の世の中になるのは間違いない」と指摘。生成AIはクライアントも使用することを念頭に置き、クリエイター側は今までの感性だけでなく、デザインの良さを言語化できる能力も大事になってくるという。
OACも生成AIについて、アンケートや委員会などを通じて議論を進めている。2024年に立ち上げた委員会では「誰もがデザインする時代の『プロフェッショナル』について検討を重ねているという。三上事務局長は「『相談される日本広告制作協会』となるべく努めている」とし、「今後も全国の制作会社と共に、クリエイティブ・デザインの価値の向上、クリエイター自身の向上につながる活動を通して、新たな時代を築いていきたい」と意気込みを語った。