防災意識の向上や将来の人材確保を狙う
横浜市消防局は10月22日から、災害現場で実際に着用していた防火服や救助服で作ったバッグを横浜市のふるさと納税返礼品として提供開始した。不用品に付加価値をつけて生まれ変わらせる「アップサイクル」で制作したもので、消防局が提供する初めての公式オリジナルグッズ。消防ファンの「推し活グッズ」として訴求することで、全国に横浜の安全と安心を発信するだけでなく、若年層の消防への興味関心を高める狙いもある。
ふるさと納税の返礼品として防火服などでつくったグッズを提供する横浜市消防局
横浜市消防局では、廃棄対象となった防火服は産業廃棄物として毎年廃棄されている。救助服などの被服も、産業廃棄物という扱いではないが、毎年一定数廃棄されており、費用や環境面への課題があった。
防火服や救助服を再利用することで課題を解決するほか、横浜の安心安全の発信や防災意識の向上につなげる狙いで企画をスタートした。ふるさと納税の返礼品として提供することで、寄付金を消防局の事業に活用し、行政サービスの向上を図る目的もある。
昨年度は民間企業と連携し、防火服のアップサイクル品を、クラウドファンディングを活用して提供した。その際は民間企業が販売管理を担ったため、防火服や救助服の組織名が記されている部分を使用しなかった。今回はそれぞれの背面に記載されている「横浜消防」などの文字を使用した公式オリジナルグッズとして作成。総務部企画課の担当者は「組織名があることで、横浜市を日夜守っている消防職員が着用していたという特別感や当局のPRにつながる」と話した。
若い世代に身近な「推し活」という表現を使用することで、より大勢に興味を持ってもらう考えだ。消防には「推し活」と称して応援するファンも多いという。若年層に関心を持ってもらい、将来的な人材確保につなげる狙いもある。