「クセになる」曲の正体は? 鈴木晋太郎さんによるプレイリスト「反復と快楽」

クリエイターの皆さんに独自のお題を設定してもらいプレイリストをつくってもらうシリーズ企画。プレイリストはSpotifyでも公開中です。

“クセになる”曲の正体

視覚情報に対する美的感覚がまあまあ残念なタイプなので、自分にとってCMを企画することの大部分は、音構造を設計することです。音楽は、さほど詳しいわけではないですが、昔からけっこう好きで、広く浅く聴いてきたので、その音楽体験が血肉化してなんとかこの仕事をやってこられている気がしています。

今回は「音やテンポ感がクセになるCMをよくつくられているので、音楽に関する独自のご知見やこだわりをお持ちなのでは」という依頼だったので、”クセになる”をテーマに楽曲を選びました。私見ですが”クセになる”の正体は、”変容を伴う聴覚刺激の反復によって生じる快楽”だと思っているので、なるべく毛色の違う反復快楽音楽を出会った順に並べています。

反復の快楽に目覚めたのは、中学生の頃に聴いたU2。冒頭とラストのディレイ(やまびこみたいな効果)のかかったギターリフが原体験。興奮しました。頭蓋骨の中で反響しているみたいで。

そこからディレイフェチが発動して、MUTE BEAT経由でダブの重低音に痺れたり、ジャーマンロックに遡ってちょっぴりスピリチュアルな気分になったり。一方で、大学でジャズビッグバンドサークルに入ってからは、グルーヴというより身体的な反復快楽を味わったり、当時、大学でジャズ史を教えていた菊地成孔さん率いるDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENのポリリズムに魅せられたり。そんな音楽青春時代でした。

就職してからはBGMなき社畜街道を邁進してきましたが、コロナをきっかけに再び音楽を聴き始めたので、最後にそこから出会った3曲を。

とってもパーソナルで、プリミティブで、フェティッシュなプレイリストになってしまいましたが、大丈夫でしょうか……。

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鈴木晋太郎(すずき・しんたろう)

電通

1981年生まれ。愛知県出身。東京大学大学院を修了後、2007年電通入社。情報システム局、営業局を経て、30歳でクリエイティブ局に。主な仕事に日清カップヌードル、日清焼そばU.F.O.、花王アタックZERO、UQモバイル、ジャンボ宝くじ、湖池屋プライドポテト、Spotify、三井不動産、キリン氷結など。ACCゴールド、TCC賞、ギャラクシー賞など受賞多数。


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