――日本ロレアル入社の決め手は何でしたか?
コンサル時代に身につけたITとマーケティング、2つの軸を掛け合わせて活かせる点です。化粧品ブランドのデジタルマーケティングとCRM(顧客管理)の推進担当として、2004年に入社しました。
ロレアルで担当した化粧品ブランドには、百貨店を主要なチャネルとするラグジュアリー系と、ドラッグストアに並ぶようなマス系の2種類があり、マーケティングのありかたも異なります。例えば、ブランドイメージにおいては、ラグジュアリー系の「シュウ ウエムラ」はいかに憧れを持ってもらうか。一方、マス系の「メイベリン ニューヨーク」はいかにワクワクさせるかに、重きを置いて施策を考えていましたね。
マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント
荒川直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。
その後、すべてのラグジュアリーブランドのCRMを包括的に推進するプロジェクトをリード。新たなCRMシステムの導入を含む、とても重たい案件でした。特にラグジュアリー系のブランドは、思想や各担当がやりたい施策も全く異なります。一方で私のミッションとしては、会社としての全体最適化も考える必要があります。ブランドマネージャーを説得し、少しずつ味方につけていきました。プロジェクトやチームのマネジメントに不可欠な「コミュニケーション力」が鍛えられたのは、間違いなくこの時です。
――エキップの前にもう1社経験しているんですね。
日本ロレアルでの14年で、マネジメントに自信が持てました。あと自分に足りないのは経営視点だと思い、subsclifeというスタートアップに、マーケティングと事業アライアンスの責任者として参加しました。入社した年は、サービスをローンチする直前で。社長の隣で、事業パートナー企業をどう説得するか、少ない予算でどうユーザーを集めるか、生きるか死ぬかのヒリヒリした日々を送りました。経営というものがよくわかりましたし、度胸がつきましたね。
現職のエキップには、同社に転職していた日本ロレアル時代の同僚から、「経営の直下で、デジタル領域を包括的に見ることのできる人を探している」と聞いて、今までの経験や経営視点を活かせるチャンスだと思い、転職を決めました。
エキップは、「RMK」「SUQQU」「athletia」という3つのブランドを扱う化粧品メーカーです。私は2020年に入社し、D2C推進部を設立。弊部メンバーによる成果として、パーセプション・フローモデルを導入し、各ブランドの課題を抽出しました。新発売のデオドラントミストのプロジェクトでは、「汗ではなくにおいを抑えて気持ちよく汗を流そう」というパーセプションチェンジをした結果、ヒットに導くことができました。
また、データの民主化も進め、各ブランド担当者がCRMデータを簡単に閲覧できるようにしました。現在は、オンライン·オフラインを通した各ブランドの顧客体験向上の伴走役の役割を6人のチームで担っています。2022年からはシステム部長も兼務することになり、D2C推進部のノウハウを社内DXに応用しています。
転職回数が多い人を「ジョブホッパー」などと呼びますが、私は常に「ITとマーケティングによる変革を推進したい」という確固たる軸を持ってキャリアを重ねてきたつもりです。道は1本でつながっています。エキップは、その集大成を発揮する場所だと思っています。
インタビュー後編は11月15日に掲載します。
「キャリアアップナビ」バックナンバーはこちら
マスメディアンWebサイトでは、求人情報を毎日更新中!