Q.快歩さんはプロとして仕事を始めて、まだ10年ほどですが、2020年にオーストラリアで開催された特殊メイクの世界大会「WBF 2020 World Championships Special Effects Makeup」で3位に選出されたり、直近では、「FORBES JAPAN 30 UNDER30 2024」のひとりにも選ばれました。特殊メイクに興味を持ち始めたきっかけは何だったのでしょうか。
私が得意とする表現は、ゴシックファンタジーの要素を取り入れたポップな世界観なのですが、幼い頃、ティム・バートン監督の作品を見て特殊メイクに興味を持ち、調べていくうちに、その面白さにはまっていきました。
子どもの頃からものづくりが好きで、高校はデザイン科に入学し、映画やマンガなどをひたすら見てインプットしながら、自身の作風を模索。印象深かったのは、特殊メイクの技術を学ぶために入学した専門学校で臨んだ初めての課題です。
人を別の生物やキャラクターに変えるというテーマで、カエルが好きだったのでカエルを選んだのですが、モデルの顔をカエルに寄せていこうとすると難しくて。そこで視点を変えてカエルをキャラクターとして見立てて、モデルの顔に嵌めてみようと思ってやってみたらすごく面白いものができて。できあがったものを見て、「これだ!」という手応えを感じました。
快歩さんがこれまで手掛けた作品。
Q.作品づくりで大切にしていることとは。
特殊メイクにありがちな、グロテスクなクリーチャー系はあえて避けて、リアリティを大切にしながら色彩で表現を高めていくような作品づくりをしています。するとファッション業界とか、自分が想像していなかった分野からオファーをいただくことが増えてきたんです。
それはとてもチャレンジングで、誰もつくったことがないようなものとか、人の想像を超えるビジュアルってどんなものだろうと考えるのは大変ですけど面白いですね。固定観念にとらわれないことが大切だと感じています。
宇宙人や妖怪など空想の世界を想像してつくるのが好きだったと言い、それが現在の快歩さんの作風のベースになっている。
Q.世の中の広告について、どのようなことを感じていますか。
15秒や30秒というすごく短い尺で最大限に企業やブランドの想いを表現するのってすごいことだなと思います。広告のプロたちが何日もかけてつくり上げる環境には憧れがあります。
一方で、今のCMって、もっとクリエイティブなことをしても良いんじゃないかなと思うこともあります。商品を売るための広告だから、表現には制限もあるとは思うのですが、広告制作以外のクリエイターも入れてアイデアを出せば、もっと創造性の高いCMができるのではと考えています。
もし僕がCMの制作をやることになったら、クライアントとの打ち合わせから参加させてもらって、アイデアを提案させてほしい。プロ同士が集まって話し合えば、面白いものが生まれそうだなと思うんです。
今年も11月1日から10日まで個展「TIPSY Level 2」を開催する。
…快歩さんのインタビュー記事全文は、月刊『宣伝会議』2024年12月号に掲載。
月刊『宣伝会議』デジタルマガジンでは、過去12年分のバックナンバー記事を閲覧可能です。