前回の記事では、東急電鉄がコロナ禍を経てSNS活用を強化していった背景、リアルとデジタルの結びつけ方、SNSのPDCAサイクルとKPI設定などについてお伺いしました。今回は引き続き、広報・マーケティング部の矢澤史郎氏より、公式Instagramで取り組まれている「社内アンバサダー施策」について、実施背景と具体的な施策内容についてお話しいただきます。
東急電鉄 広報・マーケティング部 広報CS課 課長の矢澤史郎氏(右)
若年層へのリーチの難しさ
武内:それでは前回に続いて、若年層に向けたアプローチについてお伺いしていきたいです。
矢澤:若年層の方々に興味を持ってもらうために一番合理的な手段が、SNSからのアプローチだと考えています。従来は自社のグループ内で持っている駅貼りポスターなどの接点に頼ってしまっていましたが、ターゲットにしっかり情報が届く手段に注力していくべきだと考えています。
武内:恐らく読者の方の中にも、若い世代へのアプローチが重要だと感じていながら、社内を説得しきれないと悩んでいるケースがあるかと思います。そういった時、どうやって内部的な提案を進めているのでしょうか。
矢澤:ありますよね。判断する上層部にとってSNSは馴染みが薄い部分もあるので、定量的なアプローチで合理的に判断してもらう形となります。顧客満足度調査において自社が弱い領域が若年層である、そこに効果的にリーチできる手法はSNSです、というロジック自体はSNSを活用しない世代にも理解が得られる部分かと思います。
それに加えて、デジタルコミュニケーションの特徴としてレスポンスの早さがあるので、打った施策に対する反響を共有しています。例えばポスターを貼ったとしてもそれに対してどういう行動が生まれたかは厳密には分からないですが、SNSではエンゲージメントを通じて反応があったか分かるので、効果測定や仮説検証が行えます。こういった点が社内でも評価されています。
武内:可視化できる反響を定量定性で分析し、課題を提示しSNSの有用性を説明している、ということですね。