【対談】東急電鉄がInstagramで取り組む若年層向け社内アンバサダー施策

Instagramでの社内アンバサダー施策

武内:お客さまとのやり取り、特に若年層に向けた取り組みとして、Instagramで行っている社内アンバサダーによる投稿が挙げられるかと思います。こちらは社内の有志が立候補制で参加しているそうですが、なぜ現場で働いている方々が積極的に手を挙げてくださるのか教えていただきたいです。

矢澤:現在、18人の方に第一期アンバサダーとして活動してもらっています。手を挙げてくれたのは50人弱、そこから選考させていただき活動を始めました。

武内:アンバサダー制度を始めたきっかけは何だったんでしょうか?

矢澤:沿線の隠れた魅力など、エリアのことを一番知っているのは、現場で働き、日々お客さまと接しご案内に従事する駅係員や事務所の技術員です。彼らの力を借りない手はないと思ったのが、そもそものシンプルな発想です。

もう一つ、コロナ禍を経て駅の働き方も変わってきており、従来は対面でお客さまとコミュニケーションを取る余裕がある配置だったのに対し、AI案内端末によるチャットボットサービスを活用したご案内ならびにアバター式リモート通話を活用した非対面などに置き換わったりと、少しお客さまとフェイス・トゥ・フェイスで接する場面が減ってきました。

一方、コミュニケーションを取りたくて駅係員を希望して務めている方が一定数いらっしゃいます。彼ら彼女らがお客さまとコミュニケーションを取れるツールを提供したい、現場の方々の力を借りたいと思い募集を行った、といった背景です。

武内:なるほど、接客機会が減少してきたなかで、コミュニケーションを取れる場づくりをしている側面もあるのですね。募集の際に留意した点は何かありましたか?

矢澤:現場の方々は日頃から積極的にアイデアを提案してくれています。SNSにはもともと興味がある方が多かったので、まずは様子を見ながら軽く告知をしてスタートさせました。

武内:素晴らしいですね。ちなみに、現場の方々の参加意欲が強いと全体の方向性のコントロールが難しくなるケースも他社で見受けられますが、そういった場面でお困りになったことはありますか?

矢澤:そこはまさにNAVICUSにパートナーとして入っていただきつつ、フォーマットをつくっていただき、その中で活躍してくださいとしています。もしかすると今回手を挙げてくれた人の中には自分でパッと発信するような自由度をイメージしていた人もいたかもしれませんが、会社としてオフィシャルで発信していくので、フォーマットをしっかりつくり、ストーリーありきの中で進めていく形を取っています。

かなり昔から社内報を展開していますが、各々の活動をイントラに載せられる仕組みになっているので、そういった発信を外向けに行っている感覚で進めているように思います。

武内:既存の取り組みの感覚を活かして行っている、ということですね。

矢澤:はい。その上で、各現場で取り組み趣旨を管理者・監督者に伝えて理解してもらい、勤務調整をしてもらっている点は重要だと思います。

お客さまに足元の情報を知ってほしいのと同じぐらい、アンバサダーのモチベーションが上がり、明日もお客さまのために頑張ろうと思ってもらえることも大切だと思っています。NAVICUSのようなパートナーに全て任せた方が実務上は楽かもしれませんが、表も裏も知っている現場の社員が主役になって一連の投稿を作っていくことが重要だと考えて、今の仕組みを取っています。

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武内 一矢(NAVICUS 代表取締役)
武内 一矢(NAVICUS 代表取締役)

早稲田大学卒業後、Q&AコミュニティサービスOKWAVEを運営するオウケイウェイヴに入社。X(当時:Twitter)などSNSを活用した企画を担当。その後、ディー・エヌ・エー、ふるさと納税ポータルサイト大手「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクなどを経て、2018年、コミュニティ・SNSマーケティング支援を行うNAVICUS(ナビカス)を設立、代表取締役に就任。2022年10月、九州を中心にWebマーケティング支援を行うNAVICUS九州のCMOに就任。2023年12月よりPR TIMESのグループ会社となり、広報面のサポートも加えた幅広いコミュニケーション支援体制構築に向け邁進中。

武内 一矢(NAVICUS 代表取締役)

早稲田大学卒業後、Q&AコミュニティサービスOKWAVEを運営するオウケイウェイヴに入社。X(当時:Twitter)などSNSを活用した企画を担当。その後、ディー・エヌ・エー、ふるさと納税ポータルサイト大手「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクなどを経て、2018年、コミュニティ・SNSマーケティング支援を行うNAVICUS(ナビカス)を設立、代表取締役に就任。2022年10月、九州を中心にWebマーケティング支援を行うNAVICUS九州のCMOに就任。2023年12月よりPR TIMESのグループ会社となり、広報面のサポートも加えた幅広いコミュニケーション支援体制構築に向け邁進中。

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