テレビとDOOHを掛け合わせた効果を可視化 ビジネスパーソンを対象にした、キヤノンMJのICT事業広告

デジタルからテレビをはじめとするマスメディア、さらには店頭行動までがデータで一本につながるようになったことで、メディア投資戦略にイノベーションを起こすような新たな取り組みが始まっています。本連載では、企業・メディア・広告会社に多面的な取材を行う中で、マーケティング・コミュニケーションの未来を探っていきます。今回はキヤノンマーケティングジャパンの宮下由香氏と吉田明氏、博報堂DYメディアパートナーズの矢崎綾香氏に、同社のテレビCMとOOH(屋外広告)出稿について話を聞きました。

写真 人物 博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局 AaaSアカウント推進三部 メディアプラナー 矢崎綾香氏、キヤノンマーケティングジャパン ブランドコミュニケーション本部 メディア戦略部 宣伝グループ チーフ 宮下由香氏、キヤノンマーケティングジャパン ブランドコミュニケーション本部 メディア戦略部 宣伝グループ 課長 吉田 明氏

左から)博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局 AaaSアカウント推進三部 メディアプラナー 矢崎綾香氏、キヤノンマーケティングジャパン ブランドコミュニケーション本部 メディア戦略部 宣伝グループ チーフ 宮下由香氏、キヤノンマーケティングジャパン ブランドコミュニケーション本部 メディア戦略部 宣伝グループ 課長 吉田 明氏

KPIにサイト来訪を設定 広告で認知の先の事業理解を促進

――キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)のマーケティング上の課題と、その課題を解決するための取り組みについて教えてください。

宮下:近年はITソリューションを成長領域と位置付け、事業を展開しているのですが、なかなか認知されていないことが課題になっていました。そこで、主にビジネスパーソンを対象に、ITソリューションの分野における認知を獲得したいと考えていました。

吉田:キヤノンMJグループは、顧客層別ITソリューションビジネスの拡大を戦略として掲げています。そうした中で、営業活動を後押しするための宣伝広告や広報活動に注力することが私たちの責務。最終的にはコーポレートブランディングに寄与することを目標としながら、まずは2022年にITソリューション事業に関するテレビCM「ICTで、あなたとつくる。」篇を放映しました。

宮下:このCMは、俳優の市川実日子さんが「Canonさん」に扮してお客さまの課題を解決していくというストーリー。この時にAaaSを導入して、テレビCMとTVerを横断したブランドリフトの効果を可視化させる取り組みがスタートしました。

さらに2023年7月に放映を開始した第2弾「リスクとCanonさん」篇では、ターゲットである中堅企業・中小企業の皆さんが抱える課題にフィットするテーマは何か?を考え、当社のトータルセキュリティにフォーカス。

博報堂のクリエイティブチームの皆さんにも加わってもらいながら、当社の社長や、営業部門・商品企画部門とのディスカッションを重ね、発信するメッセージから演者の服装など細かな部分まで検討していきました。

――博報堂DYメディアパートナーズは、どのような提案をしたのでしょうか。

矢崎:社名認知はテレビCMを打つことで、ある程度獲得はできるものです。しかし、テレビCMに理解や興味関心を向上させることを求める場合には、工夫が必要です。具体的に考えたのは、事業理解を促進するにはサイトに誘導することが重要ということ。そこで第2弾の施策からは、KPIとして「サイト来訪率」「サイト来訪単価」を設定し、どのメディアをどのように重複させると効果が高くなるのか、調査を行うことにしました。

そうした中、ちょうど当社内で「Tele-Digi AaaS with DOOH(※)」がローンチしました。7月の広告出稿時にもOOHは展開しており、「効果が可視化できれば」というご意見をいただいていたことに加え、キヤノンMJのBtoB領域とOOHの相性の良さが、競合他社の出稿分析を通じて実証されていたため、今回の提案に至りました。

※「Tele-Digi AaaS with DOOH」では、位置情報データと博報堂DYグループが保有するテレビ実視聴データ・デジタル広告配信データを連携させ、テレビ・デジタル・DOOHを横断した広告評価を行う。媒体の重複接触によるKPIリフト効果を明らかにすることで、統合的な広告予算配分の最適化が可能となる。

――第2弾の広告施策の結果について教えてください。

矢崎:どのメディアをどのように重複させると効果的なのか、OOHの中でもどの掲出面が効果的なのか、といったことを分析することで、具体的なメディアプランの策定につながる示唆を得ることができました。

宮下:11月の出稿は、ちょうど「Canon Security Days」という自社イベントの開催前の時期でもありました。来場者アンケートを取ったところ「OOHを見て来訪した」という人も多く、その効果を実感。KPIとしていたサイト来訪についても明確にリフトしており、マルチメディアで出稿していく重要性を感じました。メディア予算配分の最適解は変動し続けますが、効果を可視化することで、常にチューニングをし続けられる利点は大きいですね。

また、出稿後の所感として、より多くの予算を投下すれば、さらに効果が得られたかもしれないとも考えました。継続していくことでより効果予測や分析の精度も上がると思います。効果分析を基に、次回のトライに向けて予算を検討していきたいと考えています。

――9月24日からは、コーポレートブランディングにフォーカスした新しいCMシリーズがスタートしました。

宮下:新CMは、「なにかアクションを起こす時に最初に頭の中に浮かんでくる会社」になることを目的としています。そのために、まず「キヤノンマーケティングジャパングループ」を幅広く知ってもらうためのコミュニケーションをスタートしました。

BtoB企業が広告宣伝活動をするにあたって課題となるのは、社内の合意形成。社長も含めCMづくりに加わってもらうというプロセスを経たことで、“仲間を増やす”活動ができたと考えています。つくって終わりではなく、社内外に周知させ浸透させることが大切。毎回、広告出稿後に社内アンケートを実施してどのように感じたか調査も行っています。「広告を見たよ」とお客さまから声がけいただくことも増えました。営業部門の後押しになるよう、相乗効果をもたらしていきたいと考えています。

――今後の展望をお聞かせください。

吉田:これまで複数回にわたって広告施策のPDCAを回してきたなかで、より良い結果を生み出せているという実感があります。出稿メディアも固定化するのではなく、新たな媒体含めてチャレンジしていきたいと考えています。

宮下:CM公開後、社内から「いろんなメディアでCMが流れて嬉しい」「会社を好きになった」「CMをきっかけにお客さまから声をかけられた」という声が届いています。マルチメディアを通じて、幅広いステークホルダーに「キヤノンマーケティングジャパングループ」を知っていただくとともに、社員の熱量がお客さまにも伝播して、「超ワクワクする未来」を、一緒につくっていけたら嬉しいです。

矢崎:キヤノンMJさんは新しいことに非常に前向きに取り組んでおられる企業。その背中を後押しできるようなデータや環境を今後も提供していけたらと思っています。また今後はメディア、指標共に幅を広げて、企業の皆さんの課題に対応できるように開発していきたいと考えています。

編集協力:博報堂DYメディアパートナーズ

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