【初心者向け】SNS運用の手法を解説。始め方や成功のポイントとは?

実データ グラフィック SNS運用の手法を解説

SNSは現代社会において欠かせないコミュニケーションツールです。企業にとってもSNS運用は重要なマーケティング手法の1つであり、効果的に活用することで、自社のブランディングや認知拡大につながります。

本記事では、SNS運用の基礎から具体的な手順、成功のポイントまでを初心者向けに解説します。

生活の一部になりつつあるSNS

近年、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は私たちの日常生活に深く浸透してきています。友人や家族とのコミュニケーション、情報収集、エンターテインメントなど、様々な目的でSNSを利用する人が増加しました。

総務省の「令和5年 情報通信白書」によると、2022年の世界のSNS利用者数は45億9000万人となっており、2028年には60億3000万人に増加すると予測されています。この傾向は日本でも同様で、2022年の1億200万人から2027年には1億1300万人になるという増加する見込みです。SNS利用者増加の背景には、コミュニケーションツールとしてはもちろん、SNSとeコマースを掛け合わせたソーシャルコマースとしての需要拡大があります。

企業のSNS運用とは?

SNS利用者が年々増加するという状況下では、企業にとってSNSを活用していくことは重要事項といえるでしょう。

企業のSNS運用では、自社の公式アカウントを開設し、企業の認知拡大、商品やサービスの情報発信、顧客とのコミュニケーションを通したファンづくり、ブランディングなどを目的として、継続的にSNSを活用していくことが必要です。

SNSマーケティング、SNS広告運用との違い

SNS運用とSNSマーケティングは密接に関連していますが、厳密には異なる概念です。SNS運用は日々のアカウント管理や投稿を中心とした活動を指すのに対し、SNSマーケティングはより広範囲な戦略的活動を指します。SNSマーケティングには、SNS運用に加えて、SNS広告の活用やインフルエンサーマーケティングなども含まれます。

また、SNS広告の運用では、広告費用を投入し、認知拡大や集客などの短期的な成果を目指します。それに対し、SNS運用は人件費を除けば基本的には無料で運用できる点が異なります。ユーザーとの双方向のコミュニケーションを重視し、長期的な関係構築を目指していくのがSNS運用です。

企業でSNS運用をするメリット

SNS運用には4つのメリットがあります。主な利点を以下に挙げます。

1. 初期投資が少ない

SNSアカウントの開設は基本的に無料で行えるため、初期投資を抑えてマーケティング活動を始めることができます。一部の機能は有料の場合がありますが、開設自体はどのSNSも無料なため、始めやすいと言えるでしょう。

2. リアルタイムな発信ができる

SNSを通じて、即時性の高い情報発信が可能です。新商品の告知やキャンペーン情報などを素早く顧客に届けることができます。

3. 拡散性が高い

ユーザー間での情報共有機能により、投稿内容が広範囲に拡散される可能性があります。投稿が“バズる”と、低コストで大きな認知度向上が期待できます。

4. 顧客とのコミュニケーションの場となる

SNSは双方向のコミュニケーションが可能なプラットフォームです。企業は顧客の声を直接聞くことができ、迅速な対応や関係構築に役立ちます。一方的に情報を流す広告とは異なり、顧客の反応を拾ってさらなる情報を提供したり、製品・サービスの改善に活用したりすることが可能です。

SNS運用の注意点

メリットがある一方で、SNS運用にはリスクや気を付けるべき点も存在します。主な注意点は以下の通りです。

炎上する可能性がある

不適切な投稿や対応により、批判が集中し炎上する可能性があります。一度炎上すると、企業イメージに大きなダメージを与える可能性があるため、人を傷つける投稿や、人が不快になる投稿にならないように細心の注意が必要です。

継続的な運用が必要

SNS運用は一度始めたら継続的に行う必要があります。売り上げに直結する企業活動ではないため、中長期的に人的コストを確保しなければなりません。定期的な投稿や誠実な顧客対応を怠ると、アカウントの価値が低下してしまう可能性があります。

SNSの種類

ではどのSNSを運用すればよいのでしょうか。それぞれのSNSは、メインユーザーや特徴が異なります。総務省情報通信政策研究所の「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」を元に、主要なSNSとその特徴を紹介します。

スライド SNS比較

X(旧Twitter)

メインユーザーは10代~30代の若年層。短文投稿が特徴で、リアルタイム性が高く、情報の拡散力に優れています。エンタメ目的の利用者も多いといえます。

Facebook

メインユーザーは30代~40代。実名制であることからビジネス利用も多く、信頼性が高いのが特徴です。交流目的での利用者も多く存在します。

Instagram

メインユーザーは10代~30代の女性。写真や動画を中心としたビジュアル重視のSNSで、ファッションやライフスタイルに関心の高いユーザーが多い傾向にあります。インフルエンサーやハッシュタグを活用したキャンペーンも盛んです。

TikTok

短尺動画が特徴で、10代後半~20代の若年層を中心に人気があります。ダンス動画や短時間で印象に残る投稿が注目を集めやすく、エンタメ、交流目的で活用するユーザーが多めです。

YouTube

動画プラットフォームとして幅広い層に利用されています。10代~30代の利用率は90%以上であり、その中でも20代の利用率は98.2%と非常に高く、エンタメ、学習での利用が多く見られます。概要欄に任意のリンクを掲載できるため、サービスサイトや背品サイトへ誘致することも可能です。

LINE

メインユーザーは10代から60代まで幅広く、日本では最も利用率の高いSNSです。メッセージアプリとしての機能が主ですが、情報提供やクーポン配布等を行える企業の公式アカウントも活用されています。

SNS運用の具体的な手順

実際にSNS運用を始めるにはどのように進めたらいいのか、6つのステップを紹介します。

ステップ1:目的、目標を明確にする

まずはSNS運用の目的(認知度向上、顧客獲得など)と、具体的な数値目標を設定します。これらを設定しておかないと、後になって「何のためにやっているのか」が分からなくなり、投稿内容がブレ、投稿もおろそかになりがちです。

認知拡大を目的とするならインプレッション数やフォロワー増加率、エンゲージメント向上を目的とするなら「いいね」数やシェア数をKPIとして設定しておくとよいでしょう。例えば、「3カ月以内にInstagramのフォロワー数を1000人増やす」や「Xを通じて月間100件の問い合わせを獲得する」といった具体的な数値目標を設定します。

ステップ2:ターゲットを設定する

情報を届けたい顧客層を明確にし、年齢、性別、職業、趣味、関心事などの属性を考慮し、詳細なペルソナを作成します。例えば、「30代前半の都市部に住む子育て中の女性で、オーガニック食品に関心がある」といった具体的なイメージを描くことで、より効果的な投稿内容や戦略を立てることができます。

ステップ3:利用するSNSを選定する

ターゲット層や目的に合わせて、最適なSNSを選びます。例えば、若年層をターゲットとする場合はInstagramやTikTokが効果的でしょう。一方、ビジネス向けの情報発信ならFacebookが適している可能性があります。

ステップ4:投稿の方針、投稿フローをマニュアル化する

一貫性のある投稿を行うため、投稿の基準やチェック体制をマニュアル化します。活用するSNSによって、投稿内容や投稿文の雰囲気を変えることも必要です。投稿の内容、トーン、使用する画像や動画の基準、投稿前のチェックリストなどを明文化しておきます。また、複数の担当者が運用する場合は、投稿の承認フローも明確にしておきましょう。これにより、ブランドの一貫性を保ちつつ、効率的な運用が可能になります。

ステップ5:投稿スケジュールを計画する

定期的な投稿を行うため、投稿頻度や投稿する時間を計画します。例えば、平日は毎日1回、週末は2回投稿するなど、具体的なスケジュールを立てます。また、季節のイベントや自社の重要な日程なども考慮に入れ、バランスの取れた投稿計画を立てましょう。

ステップ6:PDCAを回しながら運用する

SNS運用は継続的な改善が必要です。投稿の効果を定期的に分析し、PDCAサイクルを回しながら運用を続けます。具体的には、エンゲージメント率、リーチ数、クリック数などの指標を定期的にチェックし、効果的だった投稿の特徴を分析します。その結果を基に、投稿内容や戦略を適宜調整し、より効果的な運用を目指します。

また、SNSの世界は常に変化しているため、最新トレンドや機能にも注目しながら、柔軟に運用していくことが必要です。

成功するSNS運用のポイント

SNS運用を成功させるためのポイントを4つ紹介します。

「機能的」と「情緒的」な投稿を使い分ける

商品情報の提供などの機能的な投稿と、ユーザーの共感を得られる情緒的な投稿をバランスよく行います。機能的な投稿ばかりになってしまうと、企業サイトとの差別化ができず、SNSの特徴を活かしきれない可能性もあります。機能的な投稿の中にも、ユーザーに
親しみを感じてもらえたり、感動してもらえる内容を入れることが大切です。企業の戦略やブランドイメージに合わせ、あらかじめバランスや方針を決めておくといいでしょう。

マニュアルを整備する

投稿基準や緊急時の対応など、運用に関するマニュアルを整備し、一貫性のある運用を心がけます。運用方法を定めておくことで、担当者が不在の際でも迅速かつ適切な対応を取ることができるでしょう。

ダブルチェックを徹底する

投稿内容の誤りや不適切な表現を防ぐため、複数人でのチェック体制を構築します。多くの人が見るプラットフォームだからこそ、投稿によっては意図しない内容で拡散されてしまい、見る人を不快にさせたり、炎上してしまったりする可能性があります。場合によっては法的問題にまで発展してしまうことも。複数人でチェックすることで、そのようなリスクを軽減することができます。

効果的なハッシュタグを活用する

ハッシュタグ(#)は、検索ツールとしても活用されています。そのため、適切なハッシュタグを使用することで、投稿の到達範囲を広げることができるのです。自社の企業名やサービス名をハッシュタグにする他、キャンペーン用のオリジナルハッシュタグをつけることも有効です。

効果的なSNS運用で自社アカウントの価値を高める

いかがでしたか?SNS運用は、適切な戦略と継続的な努力によって大きな成果を上げることができます。本記事で紹介した手順やポイントを参考に、自社の特性に合わせたSNS運用を行うことで、ブランド価値の向上や顧客との良好な関係構築につなげられるでしょう。

SNS運用は試行錯誤の連続ですが、「投稿するネタがなかなか見つからない」「フォロワー数が思ったよりも増えない」といった悩みに直面することも多々あります。SNS運用では特有のノウハウが必要なため、SNSコミュニケーションについてしっかり学びたい方は宣伝会議の「SNS運用担当者養成講座」もおすすめです。初心者の方も、まずは小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

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