若年層にも介護への意識を高めてもらいたいと話す橋本課長(右から3人目)
今回の施策は同プロジェクトのコンセプトを体現する「OPEN CARE BRAND ACTION」の施策で、介護を話題に出しにくい現状を打破し、介護を「個人の課題」から「みんなの話題」へと転換することを目指したもの。一方的な情報発信でなく、体験コンテンツを提供することでより社会に浸透すると見ている。
イベントでは参加者が疑似家族として物語の中に入り込み、家族間の会話を通じて介護について考える体験を提供する。物語の脚本は第65回岸田國士戯曲賞ノミネート脚本家の小御門優一郎氏が手掛ける。
実家に帰ってきた設定の参加者が一軒家に入ると、疑似家族が出迎える。その後、遭遇した未来人の指示に従い、母親が認知症を発症する前にすべきことを学ぶストーリーとなっている。
親が認知症を発症すると、家族が本人の資産を自由に管理することが難しくなる可能性があることから、事前に口座の暗証番号や印鑑と通帳の隠し場所を聞き出すための「ミッションカード」や、人生の締めくくりの方針や必要情報を事前に記しておく「エンディングノート」が手渡される。参加者が必要な情報を家族から聞き出そうとすることで物語が進む。参加者の回答や行動に合わせてアドリブを加え、柔軟にストーリーが進行できるようにしている。
老後に向けて必要な情報を探るうちに家族で言い争いが起きるなど、リアリティのある物語が展開される。これらは現実に起こりうるトラブルで「必要なのは情報ではなく、家族の気持ち」であることを伝えており、いきなり情報を聞き出すのではなく「親を心配する気持ちを伝える」といったコミュニケーション方法も学ぶことができる。