理想のマーケター人材は、変化やチームプレイを楽しめる「基盤」を持つ人

花王グループのエキップは、若い女性に人気のデパートコスメブランド「RMK」「SUQQU」「athletia」という3つのブランドを手掛ける化粧品メーカーです。D2C推進部長兼システム部長を務める鳥橋葉子さんは、2020年のコロナ禍にエキップに入社。オンライン・オフライン通した各ブランドの顧客体験向上をブランド横断的に推進する部署を立ち上げ、現在は社内のDXにも取り組んでいます。
 
キャリアのスタートは、実はITコンサルタントだったという鳥橋さん。そこから現在に至るまでのさまざまな経験を経て、マーケティング人材のあるべき姿を、今どのように描いているのでしょうか。マスメディアンのキャリアコンサルタント・荒川直哉が伺いました。

講演で聞いたDeNA・今西さんの提言に共感

──鳥橋さんは、マーケターのあるべき人材像をどんなふうに考えていますか。

以前、DeNAの今西陽介さんが講演で語られていた、マーケターに必要な能力をパソコンの「アプリケーション」と「OS」に例えるお話にすごく腹落ちしたことがありました。

「アプリ」はSNSマーケティングやSEO、データ分析といった専門スキル。「OS」は論理的思考やプロジェクトマネジメント、プレゼン力など、マーケティングに限らない基礎的なスキルです。現在のマーケターは、マーケティング領域のDXが進んでからは特に、「アプリ」をアップデートしようと一生懸命になりがちですが、ここはいずれAIに取って代わられます。ですから私は、人間はアプリを動かす「OS」を磨く方がはるかに重要だと感じています。

写真 人物 個人 鳥橋葉子氏

エキップ D2C推進部長 兼 コーポレート戦略本部システム部長
鳥橋葉子 氏
大学卒業後、ITコンサルタント、ITエンジニア、マーケティングコンサルタントを経て、2004年に日本ロレアルに入社。化粧品ブランドのデジタルマーケティングとCRMを推進。2018年からsubsclifeでマーケティング部長兼事業アライアンス部長。2020年、花王グループの化粧品メーカー・エキップにD2C推進部長として入社。2022年よりシステム部長を兼務。これまでの知見を活かし社内のデジタル領域を統括。

私はITコンサルタント出身で、最初からデジタルを主戦場としてやってきました。途中で、デジタル一辺倒でいくことに不安を覚えた時期もあったので、話を聞いて、「ああ、やっぱり専門スキルをあれこれ詰め込むだけじゃダメだよね」と、非常に共感しました。

──マーケティングの分野は、AIと相性がいいですからね。

はい。それに、「アプリ」って賞味期限が短いですよね。最新の知識や技術をインストールしても、数年経てばもう古い。だったらそこはAIに任せるとか、常にトレンドの最先端を走っている、たとえばデジタルエージェンシーの専門家をパートナーにして任せる方がいいと思います。

ただ、その場合でも、パートナーに全部任せきりにはしません。その「アプリ」でどんなことができるのか、自分でも設定したり操作できたりするくらいの知識や技術も少しは必要です。「本当にこのクオリティー、このコストは適正なのか」を定期的にチェックして、成果を高められるような緊張感をパートナーと保つべきだと思います。

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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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