近鉄グループホールディングスは、10月18日から特別ラッピング電車『Dialogue Train』の運行を開始している。
撮影:杉田知洋江
これは2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)におけるパビリオン「Dialogue Theater -いのちのあかし-」へ同社が協賛することになり、機運をさらに醸成するべく開始したもの。現在、近鉄奈良駅と神戸三宮駅(近鉄奈良線、難波線、阪神なんば線、阪神本線、京都線、橿原線、天理線)の間を運行している。
外観のラッピングと共に、車内の窓上と中吊りに掲げられているのは、乗客に向けた問いかけだ。同パビリオンは、映画作家として知られる河瀨直美氏がプロデューサーを務め、このラッピング電車には「Dialogue Theater -いのちのあかし-」で展開するコンテンツが活用されている。
「開催まであと半年に迫った大阪・関西万博の機運醸成のために、パビリオの協賛企業であり、また地域の交通を担う近鉄さんから、ラッピング電車の実施と駅広告媒体提供のお申し出がありました。河瀨直美テーマ事業プロデューサーが、近鉄沿線とも関わりが深い奈良県出身であることも連携に至った大きなポイントです」と、パビリオンの企画にも参加しているクリエイティブディレクター 井口雄大氏。
撮影:杉田知洋江
「Dialogue Theater – いのちのあかし -」のコンセプトは、「毎日が、人類史上はじめての対話」。「対話を通じた分断の解消」を目指しており、敷地内の対話シアターにてはじめて出会う二人がステージに登壇し、毎日異なる問いかけをテーマに対話を行う。対話者の一人は、来場者の中から選ばれるという。このラッピング電車「Dialogue Train」は、そのプロローグという位置づけになっている。
そして、車両全体をパビリオンのモデルルームと捉え、キービジュアルである“吹き出し”と“スポットライト”からなる車内のポスターやステッカーを掲出している。そこに掲載されている問いかけは、「今、あなたの冒険心はレベルいくつですか?」「いつもとちがう駅で降りるとしたら、どの駅で降りますか?」「あなたの『こころのふるさと』はどこにありますか?」「今日いいことが起こるとしたら、誰に、起きてほしいですか?」など、16個ある。
撮影:杉田知洋江
「パビリオンの認知理解はもちろんのこと、予定されている184のうち16種類の問いかけをポスターとして掲出することで、乗車された方の自分自身と対話と、新たな気づきや発見につながればと考えました」(井口氏)
さまざまな人が乗車することを考慮し、問いかけの内容はやわらかくポジティブな発見につながるものを選んでいる。そして車内での体験を設計するにあたり、「春、満開の桜のトンネルに入ったときのように、乗車すると目の前にさまざまな問いかけと吹き出しのスポットライトがひろがっている。そんなイメージをしながら全体を構成していきました」という。
また、デザインを担当したアートディレクターの川辺圭氏は、「Dialogue Theaterのシンボルを作る段階で、デザイン展開まで制作していたので、車両と車内をどのようなデザインにするかはそれほど時間がかかりませんでした。ただ、その中で本当にこだわらせていただいたのが『印刷』です。空の下を走るイエローは鮮やかさに、かなりこだわらせていただきました。一見シンプルなグラデーション部分は、かなり複雑な印刷になっています。近鉄の皆さまの協力のもと、本当にさまざまな試行錯誤をしていただきました」と語った。
電車の走行後、テレビ、新聞、Webメディアなど関西圏のメディアを中心に、この取り組みは紹介されている。
また、パビリオン「Dialogue Theater – いのちのあかし -」では2025年1月25日まで、対話者を募集している。応募・選考の末、選ばれた人は、河瀨直美氏のワークショップに参加することができる。このワークショップでは対話の質を高めるため、河瀬氏が映画制作を通じて培った経験やメソッドを直々にレクチャーするという。現在、すでに全国各地からの応募が来ている。
この特別ラッピング電車は、2025年10月13日まで運行される。
スタッフリスト
企画制作
近鉄グループホールディングス、組画、博報堂、キャベツデザイン
Pr
河瀨直美
CD、C
井口雄大
AD
川辺圭
C
川上茉衣
D | 栄孝之、菅野千聖、佐藤音羽 |
計画統括ディレクター | 杉山央 |
展示ディレクター | 佐藤哲也 |
実施製作統括管理 | 川西 太士、石川 慶二郎、池元 大、菅波 万理乃、小林愛、中田空 |
PR | 高橋啓一、藤波真由、入江遥斗 |
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