10年以上の経験に基づく圧倒的な説得力~『企業が成長し続けるための7つのステップ パーパスの浸透と実践』に寄せて(野林晴彦)

企業のパーパスへの注目度が上がっている。欧米発のパーパスブームの潮流は、2021年頃より本格的に日本にも押し寄せ、パーパスを策定する企業が急激に増えている。ところがパーパスの重要性は感じても、どのように策定してよいか、またそれをどのように企業内に浸透してよいかわからない企業も多いと聞いている。

本書では、パーパスの策定・浸透を、7つのステップとして、極めて具体的にわかりやすく説明されている。まるで著者の齊藤さんが目の前にいて、丁寧にやさしく説明されているような感覚である。しかしその内容はたいへん詳しく、実践的で説得力が非常に高い。日本で早くに「パーパス」概念を導入し、さまざまな会社とともに培ってこられた10年以上の豊富な経験と、その経験に基づく実践理論が、平易な言葉であるが迫力を持って紹介されている。

私も25年ほど前に、一会社員としてパーパス(当時は経営理念)の浸透の実務に取り組んだことがある。本書で紹介されているムーブメント施策を読みながら、自ら取り組んだ施策の効果を再確認するとともに、「そうか、こんな施策もあったのか!」という驚きの発見に数多く出会うことができた。もし25年前に本書と出会っていたら、より効果的に企業内に浸透させることができたのに、と悔しく感じている。

パーパスの策定そして浸透とは、単なるマネジメントの1つの方法ではない。それは企業全体を根本から変える、「企業変革活動」である、と私は考える。これは1年や2年で結果のでるものではなく、長い道のりが必要であり、そこでは企業全体での覚悟と絶え間ない努力が不可欠である。

本書は、そんな企業変革を実践するための、最良の方法を教えてくれる貴重な書籍である。本書により、1社でも多くの企業が、“真のパーパス“を策定すること、そして効果的に浸透させるムーブメント施策により企業全体を変革し、その企業のパーパスを実現することを心から願っている。 

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野林晴彦

金沢星稜大学経済学部経営学科 教授

慶應義塾大学大学院修了(MBA),滋賀大学大学院修了(博士、経営学)。製薬会社で26年勤務の後、九州国際大学経済学部、北陸学院大学短期大学部勤務を経て2022年より現職。研究テーマは経営理念、パーパス。主著に『日本における経営理念の歴史的変遷―経営理念からパーパスまで』(中央経済社、2024年)、など。

「企業が成長し続けるための7つのステップ パーパスの浸透と実践」
著者:齊藤三希子
定価:2,420円(本体2,200円+税)

近年、多くの企業がパーパスを掲げるようになりましたが、その浸透にあたりさまざまな課題を抱えているところも少なくありません。本書はそんな課題を持つ皆さんに向けて、日本で早くからパーパス・ブランディングに取り組んできた齊藤三希子氏が書下ろしました。多くの人にパーパスを正しく認識・活用してもらうべく、その考え方、言葉の使い方などを解説。そして今回は、多くの企業で課題の多い「浸透と実践」の部分にスポットを当てて、パーパス実現への道のりと各過程における具体的な実践方法を解説しています。

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