成功体験をつくるためのアドバイス
1.数字やテクニックに走らず、その背景を読み解く力
CPAなどの数値結果に過度に一喜一憂することなく、その背後にある「人々の認知や態度の変化」を読み取ることが重要だと考えています。管理画面上の数字ももちろん大切ですが、数値の変動が示唆していることに注目し、その結果から仮説を立てることを日々の業務で意識的に実践していくことが大切だと考えています。
また、AIの活用により広告運用の自動化が日々加速していく中で、テクニカルスキルだけでは競争優位を維持することが難しくなると予想されます。そのため、「なぜ成果が良かったのか」という問いを、外部要因や戦略的な観点から洞察できるスキルが一層重要な価値を持つようになると考えています。
2.仮説思考と戦略的なアプローチ力
数字や結果をただ見るだけで終わらせるのではなく、その先につながる次のアクションに向けた仮説を立てられるよう、現在の業務で意識的にトレーニングすることが大事だと思っており、私もそうしていました。短期的な数値にのみ集中するのではなく、データを基に事業成長に貢献する施策を考える習慣を身につけることが、事業会社への転職後にも大きな強みとなると考えています。
仮説を立てるためには、さらに2つの力が必要です。
・データに強い「左脳」的思考と「右脳」的発想を行き来する力
データに基づく論理的（左脳的）な分析結果を、クリエイティブな発想（右脳的）に変換できる力を養うことが重要です。つまり、データを単に解釈するのではなく、それを発展させて新しいアイデアや戦略に昇華させ、クライアントに提案し続けることが効果的なアプローチになると考えています。日々の業務の中で、このプロセスを意識的に取り入れていくことが、より良い成果へとつながると感じています。
・具体から抽象の変換力
実務から得た具体的な事象やデータを基に、その背後にある本質や一定のパターンを見出す力も大切だと思います。現場で得られるさまざまな情報や経験を、効果的なフレームワークに変換し、それを他の事業へと横展開できるようになることが、業務におけるさらなる価値創出につながると考えています。
3.相手視点に立った会話力
事業会社では、さまざまな職種や立場の方々が関わるため、データや複雑な内容を他の方々にわかりやすく伝える力が求められるように感じています。プレゼンテーションスキルや説得力のある会話を通じて、分析結果や施策提案を相手の理解度に合わせて的確に伝えることが重要です。また、メタファーや適切なボキャブラリーを活用し、相手の関心を引きつける表現力を身につけることも、より効果的なコミュニケーションにつながるのかもしれません。
Q．デジタルエージェンシーから事業会社へ転職した後、どんなキャリアパスがありますか？
A．社内の運用担当としての採用が一般的ですが、いかに自らのキャリアを切り開いていくかが鍵です。
デジタルエージェンシーから事業会社へ転職する際、一般的には社内の運用担当としての採用が多いですが、その後のキャリアの築き方が重要です。単に与えられた業務をこなすだけではなく、他部門や経営層に対して積極的に提案を行い、自らの役割を広げていく姿勢が求められます。そのためには、現状（As is）を的確に把握し、目指すべき理想の状態（To be）を意識しながら、自らの成長と貢献の方向性を明確にすることが近道になるように感じます。
また、転職先を選ぶ際に、裁量を持って挑戦できる環境を提供している会社を選ぶことも一つの選択肢です。自由度の高い職場であれば、少しずつ業務範囲を広げていくことができ、社内での信頼を徐々に得ることができ、チャンスを掴むことができるかもしれません。
「自分のスキルセットを俯瞰し、未来の自分にとって、今何が必要か？」を自己分析することをおすすめします。
