新宿駅の交通広告の特徴と魅力
多様な広告媒体が揃う新宿駅の強み
JR東日本・京王電鉄・小田急電鉄・東京メトロ・東京都交通局の5社局が乗り入れる新宿駅は、日々多くの人が利用しています。JR東日本が毎年発表している「各駅の乗車人員」では、駅別の1日平均乗車人員で、長年にわたって新宿駅が1位をキープしています。
2020年7月には、JR新宿駅に東西自由通路が開通したことで西口と東口の間を自由に移動できるようになり、歩行者の回遊性や来街者の利便性が向上しました。
本記事では、そんな新宿駅にある注目の広告媒体と、その事例をエリア別にご紹介します。
乗車人員1位!多くの人が行き交う駅構内
丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードエリア
全長約80メートルにわたる巨大広告スペース。「新宿メトロスーパープレミアムセット」はB0×80枚分、「新宿メトロツインプレミアムセット」はB0×48枚分を一挙に掲出することができます。
1.アース製薬/BARTH 「『泥睡しよう』寝顔募集キャンペーン」ピールオフ広告
アース製薬は2023年10~11月、中性重炭酸入浴剤「BARTH」の「よく眠れそう」というブランドイメージの醸成のために、寝顔のビジュアルを打ち出す広告を2段階にわけて展開。第一弾の「寝顔募集」では貼付された「BARTH」入浴剤をはがすと、担当者が寝顔を尊いと考える124の理由が現れる仕様に。寝顔写真は3500枚以上集まり、第二弾ではうち124枚を同じ場所にぎっしりと埋め尽くしてイメージを直感的に訴求しました。(月刊『ブレーン』2024年3月号「コロナ禍経て多様化 2023年ピールオフ広告」より引用)
2.関西テレビ放送「月10ドラマ『転職の魔王様』履歴書風広告&ピールオフ広告」
2023年7月17日から放送された、転職をテーマとした月10ドラマ『転職の魔王様』(関西テレビ放送)の宣伝の一環で掲出された広告。主役とヒロイン役の履歴書を拡大した広告を新宿駅に掲出、そこにドラマに関連した「転職名言つきのノート」をピールオフとして設置し、SNSを中心に話題化に成功しました。(月刊『ブレーン』2024年3月号「コロナ禍経て多様化 2023年ピールオフ広告」より引用)
3. フジテレビジョン/ドラマ「大奥」
2024年1月15日から東京メトロ新宿駅プロムナードに、謎のふすまが出現しました。同時期に始まるフジテレビのドラマ「大奥」の広告であることはわかるものの、その全貌は謎。この掲出に合わせてドラマ公式Xには、「このふすまのリポストが8888回を超えると、新宿のふすまが開き中をのぞける」と投稿されました。その後、実際に現地を訪れた人やこのXの投稿を見た人を中心に、関連ポストが次々と投稿され、なんと初日の数時間のうちにミッションが達成されてしまいました。
企画した担当者によると、特に「大奥」のような長年根強いファンのいる作品でも、常に若年層の取り込みも続けていく必要があることから、メインユーザーが比較的若いSNS活用は有効だということです。
一方で、SNS上では日々様々なアカウントが、あらゆるキャンペーンを発信しており、情報が溢れた中でありふれたプロモーションを行ってもすぐに埋もれてしまいます。今回の企画では、SNS上でのアクションが実際に新宿に設置されたふすまを動かすという真新しさに多くのユーザーが反応しました。(月刊『販促会議』2024年4月号「SNS×OOH施策で確度を高めるコツとは?」より引用)
京王新宿アドストリート
京王新宿駅とJR新宿駅を結ぶ全長40メートルの地下道。全32面、両側に連続掲出できるスペースです。
ハウスメイトパートナーズ「ふしめ、ふしめに、ハウスメイト」
ハウスメイトパートナーズは、2023年1月からスタートしたテレビCM「ふしめ、ふしめに、ハウスメイト」の新シリーズを2024年1月から公開するのに先駆けて、広告クリエイターが実際にプレゼンテーションをした新CMの演出コンテをまるごと屋外広告にし、2023年12月18日から新宿で掲出しました。
本シリーズでは、人生の節目を応援する「生活応援業」としての同社の姿勢を訴求すべく、2023年は「受験生」をターゲットにプロモーションを展開。第2弾となる2024年は「就活生」をターゲットに、コロナ禍で変化した就活の不安にも寄り添う存在でありたいと考えて企画しました。
ブランドイメージの向上に課題を抱えていた同社は、CMへの期待感を醸成するための工夫として、先行プロモーションを展開しようと考え、出たアイデアが「CM演出コンテの公開」でした。
OOHの掲出場所に新宿アドストリートを選定した理由を、電通のクリエーティブディレクター玉山貴康氏は、「このスペースを見て感じたのは、ゲームに出てくる地下通路のような、ある種の異空間。そんな雰囲気のある場所で、CM用に描かれた芳賀薫監督の演出コンテを1コマずつ並べていくと、まるで展覧会のように、身体全体で広告をとらえるといった、身体性をともなう体験を提供できると考えて掲出場所に決めました」と話しました。
(月刊『宣伝会議』2024年4月号「演出コンテを丸ごとOOHに 先行公開で狙った話題創出」より引用)
新宿BBB(スリービー)/JR新宿駅南改札内
JR東日本が推進する「Beyond Stations構想」から生まれたコンセプトメディア「新宿BBB」は、コの字型の巨大ビジョン「BOX」、縦型4面×12柱=計48面のビジョン「BLOCK」、改札内外の壁面に伸びる長大ビジョン「BELT」の3つの「B」メディアを組み合わせ、イマーシブ空間を創出する、これまでにないメディアです。JR新宿駅の中でもひと際、人流の多い南改札内に位置し、多くの駅利用者にダイナミックに情報発信することが可能です。また15分に1回スペシャルコンテンツも放映し、注目率を高めるとともに、駅利用者にも楽しんでいただけるメディアを目指しています。(ジェイアール東日本企画 添野佑吾氏)(月刊『宣伝会議』2024年5月号「特集スポンサーに聞く!2024年注目のOOHメディア枠」より引用)
新宿ウォール456プレミアム+(プラス)/JR新宿駅東西自由通路
新宿駅東西自由通路にできた新宿ウォール456と合計39面に及ぶJ・ADビジョンのセット。J・ADビジョンは、新宿ウォール456の対面にある25面の柱サイネージと、西改札前の14面の柱サイネージのことを指しています。
「新宿東口」の猫など 東口エリア
クロス新宿ビジョン
新宿東口駅前広場から視認でき、4K相当画質で3D映像などを放映できる新鋭の街頭ビジョン。 画面に映る「新宿東口の猫」が人気となり、多くの人が立ち止まって撮影するなど接触時間・機会ともに非常に高い評価を得ています。
1.UHA味覚糖 「3D巨大さゆり」
2023年11月、クロス新宿ビジョンで、UHA味覚糖の広告「3D巨大さゆり」が放映されました。また同時期に、「3D巨大さゆり」をそのまま模した表現を用いたテレビCM「3Dさゆり~さゆりイチ推し~」篇も公開しました。
「3D巨大さゆり」は15秒間の映像で、舞台がせり上がるように下から登場した石川が「皆さーん!石川さゆりです!」と道行く人に声をかけるところから始まる。「♪あなたののどを守りたい~」というテレビCMソングを歌い、通行人に向かって商品をアピールします。
日本経済広告社エグゼクティブ・クリエーティブディレクターの中村方彦氏は、「チームで話す中で、銀座の時計台からときどき人形が飛び出す感じでさゆりさんが飛び出してくる描写があれば、インパクトも意外性もあって面白いね、と。であれば、少し前から話題の『新宿東口の猫』のように、繁華街のど真ん中でさゆりさんが飛び出してきたら面白いんじゃないかと思ったんです」と話しました。(月刊『ブレーン』2024年3月号「石川さゆりが飛び出す3D広告 テレビCMとも連動」より引用)
2.KADOKAWA「#貞子が拡散中 キャンペーン」
KADOKAWAはホラー映画『リング』シリーズの最新作『貞子DX』を2023年10月28日に公開。生活の“あらゆる場面”に出現する貞子の写真・動画を投稿することで参加できるTwitter投稿キャンペーン「#貞子が拡散中」を2023年9月28日より行いました。
一連のプロモーションでは、作品のキャッチコピーでもある「もう近くに、いる―」が体現されています。タクシーサイネージから貞子が這い出てくる迫力満点のAR映像が楽しめる「貞子タクシー」が街を走り、話題のクロス新宿ビジョンの「新宿東口の猫」とコラボした<猫VS貞子>の3D広告を掲出するなど、暮らしの中で人々が“拡散したい”と感じるような話題性に富んだ施策を展開しました。
これらの施策では、作品で見せる恐ろしい姿に加え、多くの人に愛されるキャラクターとしての貞子がクローズアップされています。例えば「新宿東口の猫」とのコラボでは、いつものようにブラウン管から這い出てきた貞子に対し、その脇にいる猫がパンチ。驚いた貞子が引っ込んでしまうという映像で、思わず笑ってしまうと話題に。「毎日でも見たい」の声が集まるなど、見る人を釘付けにしてしまうユニークな広告となりました。(月刊『宣伝会議』2023年1月号「日常のあらゆる場に貞子が出現! 拡散したくなるTwitter施策」より引用)
新宿アルタビジョン
新宿東口の商業ビル「新宿アルタ」の壁面に設置されている大型ビジョン。「新宿アルタ」は2025年2月28日に、営業終了することを発表しています。
映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』
『クレヨンしんちゃん』シリーズ史上初となる3DCG作品となった映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』。2023年8月の映画公開に合わせて、都内を走る100台ものタクシーの窓ガラスジャックや、新宿でのOOH広告などを展開しました。
新宿アルタビジョンと、向かいにあるクロス新宿ビジョンにOOH広告を展開。3DCG映画ならではの、立体的な映像を2カ所でシンクロ放映し、映画のテーマを表現しつつ通行者にインパクトを与えました。(月刊『販促会議』2024年1月号「街が『クレヨンしんちゃん』一色に 生活動線に溶け込むタクシー広告の活用」より引用)
東急歌舞伎町タワー メディア/新宿・東急歌舞伎町タワー
2023年4月に開業した東急歌舞伎町タワーでは、歌舞伎町シネシティ広場に面して設置された約200㎡の大型屋外ビジョン「KABUKICHO TOWER VISION」や、その下部に位置する屋外ステージ「KABUKICHO TOWER STAGE」をメディア販売しており、さらに隣接するシネシティ広場との一体活用により多くの大型イベントを開催しています。東急歌舞伎町タワーはホテルおよび映画館・劇場・ライブホールなどのエンターテインメント施設を内包した、まちのにぎわいや文化を創出する歌舞伎町の新たな情報発信拠点となっており、同施設を訪れる人々の目に触れるOOHメディアはさまざまな業種の広告主から注目を集めています。(東急エージェンシー 石田篤史氏)(月刊『宣伝会議』2024年5月号「特集スポンサーに聞く!2024年注目のOOHメディア枠」より引用)