また会員限定の参加型キャンペーンや、カインズの商品を使用したオリジナルレシピを考案してもらう「モニター企画」も実施。運営側から毎月「今年つくってみたいDIY作品は?」といったトークテーマも設定し、会員同士の交流機会を増やしている。
これらの施策により、コミュニティを活性化。オンライン上で交流していた会員同士がWSを通して直接会う、またコミュティ内で会員が薦めていたカインズの商品を他のユーザーが購入する事例も。その効果は、WSの参加者数の推移からも明らかで、コミュニティ設立前後で参加者数も増加。参加頻度も2.5倍に増えている。
購入金額にも好効果
設立から3年が経つ現在、4万人の登録者を抱えるなど規模を徐々に拡大している同コミュニティ。顧客接点の創出だけでなく、売上面でも効果を生み出している。
コミュニティ会員の年間購入額は、カインズ会員の平均の1.8倍に達し、コミュニティの最上ランク会員の年間購入金額は、カインズ会員の平均の5.4倍に。一人当たりの購入点数や来店回数も多く、会員になる前と比べ購入金額の増加にも貢献している。
澁谷氏はその成功要因に「会員同士の活発な交流」を挙げた上で、運営における3つのポイントを強調した。
ひとつ目がリアルとオンラインをつないだコミュケーションの設計だ。たとえば、WSに参加する際は、ニックネームを記載したバッジを着用するよう促し、オンラインで交流している会員同士がリアルでも自然に関わりやすい仕組みを創出。またコミュニティのランクが上がると受け取れる特典は、あえて店舗スタッフから直接手渡しすることで、会員である顧客と店舗の交流機会を設けている。
ふたつ目が、自社商品の宣伝活動を一切行わないこと。むしろ他社商品に関する投稿も歓迎することで、企業やコミュニティに対する信頼の醸成を目指している。最後に、会員の声に耳を傾けつつも、企業理念や姿勢はぶらさないことも重要なポイントだという。
「コミュニティ会員同士の活発な交流」を生み出す3つのポイント/カインズ作成
実店舗やWSといったリアルでの接点に加え、オンライン上での接点を持つことで、顧客との絆を強化し、信頼関係を築き上げてきたカインズ。今後もファンと共にコミュニティをつくりながら、DIYerの増加やミッションの実現を目指す。