総務省では広告主側の意識改革を促す取り組みも実施。広告主・経営人向けガイドラインの策定に向けて検討を進めているという。具体的には、偽・誤情報などをはじめ、違法なコンテンツや客観的に有害なコンテンツを掲載するメディアにデジタル広告が配信されることによる課題に対応するため、広告主やその経営陣および広告代理店に求められる取り組みに関するガイドライン、ガイドブックなどの策定が進んでいる。今年12月にはガイドライン等骨子案が策定され、来年3月にはガイドライン等が公表される予定だ。
パネルディスカッションでは、コーディネーターを務めた小出氏から「デジタル広告に対しては、何かしらの規制が必要となりうるのか?」との質問が投げかけられた。これに対して、大内氏からは「現在、実施しているデジタル広告ワーキングでの議論しかり、広告だけでなく、総合的な対策が重要との認識でいる。加えて、現在策定を進めている広告主向けのガイドラインも広告主の主体的取り組みを想定している。まずは広告主やプラットフォーム事業者、利用者の方々の意識変革を前提にしたい。その意識変革だけでは、抜け落ちる部分があるのなら、それは議論をしていきたい」と説明がなされた。
経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 デジタル取引環境整備室の長島由晃氏からは2021年2月に施行、同年4月に運用開始となった「デジタルプラットフォーム取引透明化法」を中心に経産省の取り組みについて説明があった。
デジタルプラットフォーム取引透明化法において、デジタル広告分野が指定されたのは2022年10月。デジタル広告分野でのデジタルプラットフォーム取引透明化法の運用が開始されて2年目を迎えるが、これまでの大臣評価においては昨今、社会問題化したなりすまし広告も含めて議論の対象になっているという。
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また経産省でも、「デジタル広告の質に関する『見える化』(広告主の買い方改革を含む)が論点のひとつになっているという。具体的には、大臣評価で取り上げられた「デジタル広告の質」の課題としては、ビューアビリティ、アドフラウド、ブランドセーフティの3点を深堀して議論をしてきたという。
長島氏は「昨年度は『広告主の買い方改革』を打ち出し、プラットフォーム主導で改善していけないか、という方針のもと施策を実行。今年度はプラットフォーム側の実施施策がうまく機能しているか、を検証するフェーズに入っている」と昨今の取り組み方針について言及した。