高齢者の栄養不足を改善 ネスレヘルスサイエンスと兵庫県で「フレイル」対策

ブランド認知向上で、高齢者や在宅患者の選択肢拡大

ネスレヘルスサイエンスは11月から、包括的フレイル対策推進事業の一環で、産学官連携による「65歳を過ぎたら…栄養の考え方をギアチェンジ」の啓発を開始した。「フレイル」とは、加齢により体力や気力が弱まっている状態のことで、以前は「虚弱」や「衰弱」などと呼ばれていた。同社は啓発活動を通じてフレイルの課題を改善し、健康寿命の延伸や同社ブランドの認知拡大につなげたい考えだ。

実データ グラフィック 産学官連携で啓発する「65歳を過ぎたら・・・栄養の考え方をギアチェンジ」

産学官連携で啓発する「65歳を過ぎたら・・・栄養の考え方をギアチェンジ」

要介護状態の前段階と考えられているフレイルは、筋力低下などの身体的要素、認知機能障害などの精神的・心理的要素、経済的困窮などの社会的要素で構成される。適切な介入により再び健康な状態に戻ることも期待できるため、早めの気づきと対策が重要だという。

フレイルの大きな要因の一つは「栄養不足」。加齢による食欲の低下や、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力が衰えることによって食事量が減少し、栄養不足につながる。栄養不足になると、筋肉量が減少して筋力や体の機能が低下するため、フレイルの悪化を招くという。

中高年世代のメタボリックシンドローム対策と異なり、高齢者の低栄養やフレイルのリスクに備えるための食事・栄養管理では、カロリーやたんぱく質をしっかり摂取することが重要。一方、ネスレヘルスサイエンスが実施した調査によると、フレイルの疑いがある高齢者の80%が「健康のためには食事量やカロリーを摂りすぎない粗食が大切」と考えており、実際に70%の方が自らの食事量を減らしていることが分かった。

そこで同社は、医療法人社団「悠翔会」の佐々木淳理事長の著書「在宅医療のエキスパートが教える年をとったら食べなさい」に基づき、同氏監修の「65歳を過ぎたら…栄養の考え方をギアチェンジ」の啓発を春からスタートした。地域の高齢者やその家族に食事や栄養についての意識と行動変容を促す狙いだ。

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