令和のマスメディア「縦型ショートドラマ」の現在地 ―注目のクリエイター集団「ごっこ倶楽部」に聞く

ショートドラマだけでブランド認知度は驚異の44%を記録!?

――GOKKOでは日本テレビの「毎日はにかむ僕たちは。」、NTTドコモ公式アカウントなど多数の企業アカウントのショートドラマ制作のご支援もしています。どのアカウントのショートドラマも見応えがあり、エンタメコンテンツとして楽しませてもらっていますが、企業がショートドラマを活用するメリットはどこにあるのでしょうか。

テレビCMで、なかなかリーチできない若年層に対して、まず企業と接点をつくり、さらに認知や好感度を高める手段として、ショートドラマの活用が注目されています。例えば、私たちが手掛けるNTTドコモ公式アカウントでは、「ドコモ×青春」をテーマにショートドラマを展開しています。このシリーズを通じて、ドコモの認知獲得率は44%(15-19歳の認知率、2024年9月NTTドコモ調べ)に達しました。こうした成果を、テレビCMの制作・放映よりもはるかに低コストで実現できています。

――テレビはマスメディアなので、CMを通じて認知度獲得につながるイメージが沸きますが、ショートドラマでどうしてそんな数値を叩き出すことができるのでしょうか。

TikTokでショートドラマを見ると、画面の右側にアカウントのプロフィール画像(企業ロゴ)、下側にアカウント名(NTTドコモ公式アカウント)が常に表示される仕組みになっています。

視聴中に企業のロゴや名前が視界に入ることで、自然にユーザーとの接触回数が増えていきます。企業アカウントの発信ではどうしても自社商品やサービスを盛り込みたくなるところですが、企業色を抑えたショートドラマで展開することで自然な形でユーザーとの接点を増やすことができます。

イメージ NTTドコモ公式アカウント

圧倒的成果を生み出す秘訣は“減点ゲーム“方式の運用

――認知度を担保するには多くの人にリーチする必要があると思います。そして、リーチするには再生回数もそれなりに回すなど、いわゆるバズが求められると思います。その条件下でもGOKKOが手がけてきたアカウントでは高数値を叩き出していると感じますが、秘訣はありますか。

当然、そこはかなり狙ってバズを生み出していますが、「何をしたらバズるか」を追求するよりも、「やってはいけないことを避ける」、つまりは“減点ゲーム”方式で運用している点に特徴があるかもしれません。

例えば「BPMが遅いとウケない」のように、音楽、カメラ、編集、脚本などジャンルごとに、NG項目を洗い出しています。逆算と緻密な計算のうえで成り立っているので体系的に高再生数のコンテンツをつくることができています。

ただ、避けるべきことは常に変化するため、トレンドを追い続け、チューニングすることが重要になります。GOKKOには脚本、音楽、演技、編集、カメラ、アルゴリズムの6分野で強みを持つメンバーが揃っており、インハウスで完結できる点が活かされています。

――GOKKOのショートドラマが面白い理由を垣間見た気がします。最後に今後の展望を教えてください。

縦型ショートドラマは今後も視聴者は増え続け、リーチ力もますます上がっていくことは間違いありません。スマートフォンが手離せない存在である以上、この波は止まりません。これまではTikTokが主戦場でしたが、ショートドラマを楽しむことのできる場は広がっていますし、私たちもその変化に対応していきます。

ショートドラマは、令和のマスメディアと言える存在になりうるもの。注目が集まることで、潤沢な資金が集まり、ロケーションや役者にもお金をかけられるようになるので、コンテンツもどんどん進化していくと思います。

その中でGOKKOとしては、課金型のコンテンツ販売にも力を入れていきたいと考えています。ヒットコンテンツを継続的に生み出すにはスピードが重要で、制約に縛られず、理想を追求するためにも、独自のマネタイズモデルを確立していきたいと思います。

【取材を終えて】

縦型ショートドラマはコンテンツとしての面白さはもちろんのこと、我々の生活習慣やプラットフォームの変化など複数の要因が絡み合った結果、広がりをみせていることを学べました。今後のショートドラマ市場はますます盛り上がることが期待されるので、これを機会に私自身ももっと多くのショートドラマに触れてみたいですし、GOKKOの動向にも注目し続けたいです。

写真 人物 取材をする櫻井恵さん(写真右)。

取材をする櫻井恵さん(写真右)。

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