情報の裏取りに手を抜く記事があふれる現状 AI時代にこそ高まる取材の価値とは

各社が独自の切り口で取材をし、情報を分析、そこで得た情報を世の中に届けるメディアという存在。そんなメディアが持つ一次情報収集・分析力は、人々がさまざまな情報に簡単にリーチできるようになった今の時代に、どう評価されるべきなのだろうか。スローニュース 代表取締役社長の瀬尾傑氏が解説する。
※本記事は月刊『宣伝会議』1月号の転載記事です。

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瀬尾 傑氏

スローニュース
代表取締役社長

調査報道やノンフィクションを生み出す会員制サービス「SlowNews」を展開。ジャーナリストや記者、広告、PR関係者などが参加するセミナーなども好評。日経BP、講談社を経て、現在、スマートニュースに。インターネットメディア協会代表理事。

情報の裏取りに手を抜く記事が大量にあふれている現状

ここまできてしまったか、と嘆きたくなる衝撃的なニュースだった。

11月5日、毎日新聞は『Snow Man・渡辺翔太 32歳の誕生日に「感謝だらけの日々です」メンバーやファンから祝福の声』という記事に誤りがあったと謝罪し、記事を削除した。

問題となった記事は「渡辺翔太/Shota Watanabe【公式】」と書かれたSNSアカウントの投稿に対するファンの反応などをまとめたもの。しかし、実際にはこのアカウントはいわゆる「なりすまし」だった。同社は、その事実を確認しないまま、誤報を配信したのだ。

今回のように、タレント、経営者、スポーツ選手などのSNS投稿と、それに対するネットの反応を組み合わせて、取材をしないで記事を書くのは、「こたつ記事」といわれる手法のひとつ。

取材に費用がかけられないネットメディアから始まったこたつ記事は、スポーツ新聞のニュースサイトなどでもよく見られるようになった。そういう意味では大手新聞が手掛けるのは、残念ではあるが、もはや驚くことではないのかもしれない。

しかし、今回はニュースの起点が偽アカウントだったというお粗末さだ。記者が事務所に問い合わせすればわかることだっただろう。しかし、毎日新聞はそれに関する取材も確認もしないまま記事にし、その結果、誤報を配信することになった。

毎日新聞が同日15時に更新したおわび文には、「このアカウントはなりすましとみられることが分かりました。関係者の皆さまにおわびします。記事を削除しました。」とある。この時点でも「みられることが分かりました」と確証を掴めていないのだ。

今回、本稿において、「これからのメディアビジネスにおいて、メディアの一次情報収集・分析力は今の時代にどう評価されるべきか」というお題をもらった。

残念ながら実情は、記者による取材が売り物のはずの新聞社さえ、肝心の裏取りに手を抜く記事を量産するような悲しい状況なのである。

…この続きは11月29日発売の月刊『宣伝会議』1月号 で読むことができます。

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