Z世代の「エモ消費」とは? Instagramでブランドの価値を伝えるポイント

「Z世代の心を動かすマーケティング」を巡って、Meta日本法人Facebook Japan代表取締役の味澤将宏氏と、Z世代向けマーケティング・企画に強みをもつ僕と私と株式会社代表取締役の今瀧健登氏が意見交換した。「エモ消費」に代表されるZ世代の消費傾向から、Instagramを使った施策でZ世代の共感を生むブランド価値をつくるためのポイントなどについて話し合った。

Z世代の消費行動に見られる2つの特徴

味澤:まずは自己紹介をお願いします。

今瀧:Z世代に特化したマーケティング会社を運営しています。私も1997年生まれのZ世代ですので、まさに同世代の目線で、人生をよりハッピーにしてもらうためのプロモーションを行っています。

味澤:Z世代にとって我々が運営するInstagramは日常生活に欠かせないプラットフォームだということもあり、マーケターの方々から「Z世代に対して、どのようにマーケティングをしたら良いのかわからない」という相談をいただくことが多いのですが、そもそもZ世代の消費行動は他の世代とどのように違いますか。

今瀧:Z世代の消費行動には、2つの特徴があると考えています。1つは、SNSに特化していること。もう1つは、「エモ消費」と呼んでいるのですが、経験×ハッピー×コミュニケーションというところから消費が行われることです。

写真 人物 僕と私と株式会社 代表取締役  今瀧 健登 氏

僕と私と株式会社 代表取締役 今瀧 健登 氏

味澤:エモ消費のエモとは、どのような意味ですか。

今瀧:エモという言葉には、エモーショナルをはじめいろいろな意味が込められていますが、マーケティング上のエモが意味するのは、“ハッピーな共感”といったイメージです。

味澤:ハッピーというのは、どのような消費行動と結びつくのでしょうか。

今瀧:基本的に人は幸せになりたいものだと思うのですが、今までのように “モノを手に入れること”によるハッピーだけでなく、“モノを使ってどのようにハッピーになるか”ということまで考えなければいけない時代になったと思っています。良いモノが溢れる時代になり、機能による差別化をしにくくなっていますよね。あるモノを使うことでどのような世界観のハッピーが得られるかということをきちんとつくらなければ、消費は促せないと考えています。

味澤:なるほど。もう1つのポイントはSNSに特化していることだとおっしゃっていましたが、我々の調査でも、Z世代はSNSで好きなものや欲しいものを探すという結果が出ています。やはりそのように感じますか。

今瀧:感じますね。SNSを介してたくさんのものに出会えて、自分の頭で覚えなくても情報をストックできてしまうため、SNSを経由した買い物が当たり前になっています。また、オフラインで良いものを見かけても、それを一度SNSでチェックしてから購入するといったように、SNSを起点に消費行動が変わってきているなと思います。

Z世代のマーケティング施策で押さえるべきポイント

味澤:そうした消費行動の特性を持つZ世代に対して、実際にマーケティング施策を考えていく際のポイントを教えてください。

写真 人物 Meta 日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤 将宏 氏

Meta 日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤 将宏 氏

今瀧:1つは、やはりSNSを活用することですね。先ほどもお話ししたように、SNSを起点に消費行動が変わってきているため、たとえオフラインの施策でもSNSが非常に重要になっています。例えば、どこにどのような人が来て、どのような投稿がSNSに上がるのかということまで設計する必要があると考えています。

もう1つは、エモを起点に考えること。情報が溢れているので、機能訴求を入り口にして商品やサービスを覚えてもらうことが難しくなっています。そのため、まずは共感してもらう、自分ごと化してもらうといったことがとても重要です。

味澤:今瀧さんの著書には、Z世代の価値観はすごく多様化していて、自分自身の好きなものや他の人と違うものを追い求めるといったことも書かれていましたよね。

今瀧:はい。それゆえに、誰か一人に合わせたアプローチでは、別の人に刺さらないものになってしまいます。しかし、一人ひとりに合わせたアプローチをするにはコストがかかりすぎてしまうため、60点の共通項を取りに行き、残りの40点は自己解釈の中で補ってもらうことが重要だと考えています。

味澤:なるほど。今のお話に共通する部分もあると思いますが、我々はInstagramを活用したマーケティング施策を考えていただく上で、3つポイントがあると考えています。1つ目はインサイトを理解すること。Z世代であれば、多様化している彼らのインサイトをきちんと理解することが大切です。

今瀧:そうですね。インサイトが理解できていないと、結局は誰にも刺さらないものができるといったことになりかねません。そうならないために、きちんと理解できるまでヒアリングして落とし込む必要があります。

味澤:2つ目は、適切なクリエイティブ、適切なコミュニケーションを、適切なフォーマットで届けることだと考えています。我々の調査で、Instagram上の若い消費者の84%が「ブランドのコンテンツが完璧ではないときのほうが好き」と回答したという結果があります。どのように思われますか。

今瀧:SNSを通してブランドとも友だちのように気軽にコミュニケーションをとる機会が増えたので、等身大であったり、弱みがあったりする方が共感を得られるのだろうと思います。

写真 人物 味澤 将宏 氏、今瀧 健登 氏

味澤:3つ目は、クリエイターと協業すること。Instagram上のZ世代の利用者は、「ブランドから何かを聞くよりも、クリエイターの声の方が信用できる」という調査結果もあります。クリエイターをマーケティングで活用していく上で重要視していることはありますか。

今瀧:クリエイターは、消費者と企業の間に立ってきちんと商品を理解し、それに対して第三者として意見を持っている、バランスのとれた目線の持ち主だと考えられると思います。だからこそ、消費者に信頼されるのでしょう。ブランドが協業するクリエイターを選ぶ際は、形式的なPRにならないよう、ブランドのファンになってもらう必要があると思います。

味澤:我々は、ブランドは消費者やクリエイターと共創しながらつくり上げるものだと考えているのですが、そこにも通じますね。ブランドから発信することも必要ですが、クリエイターがいて、そして商品やサービスを使っている消費者がいる。この3つでブランドの価値がつくられるように変わりつつあると思います。

今瀧:これまでも消費者やクリエイターの声は重要でしたが、SNSによってそれぞれの声が可視化されるようになったというのがポイントではないでしょうか。消費行動にも現れていますし、Z世代も重要視していると感じます。

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味澤 将宏(あじさわ・まさひろ)

2000年、オグルヴィ・アンド・メイザージャパン⼊社。2008年より⽇本マイクロソフトにて、PC及びモバイルディスプレイ広告ビジネスを統括。2012年4⽉、Twitter Japanに⼊社し、2016年11⽉より上級執⾏役員広告事業担当本部⻑および⽇本・東アジア地域事業開発担当本部⻑を兼任。2020年1⽉6⽇付でFacebook Japanの代表取締役に就任。

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今瀧 健登(いまたき・けんと)

僕と私と株式会社CEO。Z世代への企画・デジタルマーケティングを専門とするZ世代の企画屋。ハッピーな共感をフックに購買行動に繋げる「エモマーケティング」を提唱し、さまざまな企業のマーケティングや顧問も務める。著書に『エモ消費』『Z世代マーケティング見るだけノート』など。


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