従来の体験型プロモーションとの違い
では、従来の体験型プロモーションとイマーシブ体験は、どう異なるのでしょうか。ここで重要なキーワードとなるのは、「ナラティブ(物語性)」です。
これは、近年のイマーシブ・プロモーションで提供する体験そのものに、物語が組み込まれているものが多いことが関係しています。特に2024年に話題となったイベントには、演劇型が多くありました。これにより、消費者はただの観客ではなく、プロの俳優が演じるキャストと一緒にゲームや謎解きを楽しんだり、まるでテーマパークのアトラクションのように、物語の中に自らが入り込んでいく時間を楽しむことができるのです。
これまでの体験型プロモーションでは、スタッフによる案内などはあるものの、体験そのものの進行や流れは基本的に消費者に委ねられていました。つまり、消費者が主体となり、どのように体験を楽しむかは“その人次第”でした。
一方で、イマーシブ・プロモーションでは、体験の流れが企業によってコントロールされ、消費者がそのストーリーや世界観に没入する過程に企業側も積極的に関与します。そのため、消費者だけでなく、企業側も体験の主体者となり、ストーリーが進行する中で両者が一体となってプロモーションを創り上げていくことになります。
さらに、物語性が強調されるイマーシブ・プロモーションでは、参加者がストーリーや世界観に深く没入できるよう、体験時間が従来の体験型プロモーションと比べて長くなる傾向にあるのもポイントです。短いもので10分程度、長いものでは1時間弱に及ぶものまであります。
従来の体験型プロモーションは長くても数分のものが多かったことから考えても、体験時間は大きな違いといえます。体験する時間が長いということはすなわち、イベントを主催している企業や商品・サービスと触れる時間も長くなるということ。その分、質的にも濃いブランド体験が提供できることも、従来の体験型プロモーションと異なるでしょう。
「イマーシブ」が流行する理由
では、なぜここまでイマーシブ体験の提供に広がりが見えてきたのでしょうか。ここで重要なのは、……
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