結果、国内三大大手紙であるDagens Nyheter、SvD、Göteborgspostenのすべてで記事掲載を獲得。「Dagens industry(直訳は『今日の業界』)」や「Breakit」のような国内大手ビジネス誌には11本ほどの掲載を実現しました。また、スウェーデンの地方紙では48本の記事が露出しています。
加えて、スウェーデンのみなら北欧諸国でもっとも人気のあるポッドキャスト番組「Framgångspodden(直訳は『成功を収めるポッドキャスト』)」や、国内でとても有名なインフルエンサーかつテレビパーソナリティが番組ホストである「Topp 1 i Sverige(直訳は『スウェーデンのNo.1』)」への出演も叶いました。
現在、マイトナーは250の学校、4万人以上の生徒に使われています。またここ数年で導入校数は2倍になり、成長が加速し続けています。
Gul PR代表取締役のハンゼン氏は以下のように述べています。
「マイトナーは、学校プラットフォームの理想とのギャップを埋めるために、教育者と生徒のニーズに真に応えるソリューションを提供しています。包括的な製品を最前線に置き、熟練したチームがこのプラットフォームを販売することで、PRは会社の成功に不可欠な認知度と信頼性を生み出しました」。
本事例からの学び
いわゆるトップPRの典型例ではありますが、本事例からの学びを考える際の大事な前提条件は、子育て支援において世界的に高い評価を得ているスウェーデンの事例であることです。
スウェーデンは男女平等だけでなく、「子供への体罰を禁止する法律」を1979年につくった世界最初の国として知られているように、子供の人格や個性を尊重する点では世界最先端の国です。
そのスウェーデンの首都ストックホルムで、巨費を投じて作られたスクールマネジメントシステムが不調に終わったことは、大変な皮肉であったろうと想像します。そこで20歳のアンダーソン氏が開発したマイトナーをプロモーションする際に、アンダーソン氏のキャリアや人となりを中心に据えた戦略を打ち出した点は、期待にそぐわない現状を正しく改善していく方向性としては、たいへん理にかなったものに思えます。
ハンゼン氏によれば、マイトナーは、他の競合製品・サービスなどと比べても優れた製品であるとのことですが、そこにCEOの魅力をのせて情報発信したことが、今日のマイトナーの成功につながったのでしょう。
製品やサービス、組織自体の魅力を伝える際には、それらを取り巻く外的環境の調査や分析が欠かせません。同様に、社内リソースの調査や分析も大事になってきますが、この「外的環境」と「内的環境」をうまくマッチングできると効果的なPR活動につながると思います。
マイトナーの事例は、組織の長であるCEOのキャラクターという「内的リソース」が、旧態依然としたシステムや、子供の人格や個性を大事にする社会という外的環境にとって、有効活用できた優れたトップPR事例だと思います。
PRの際に組織内を見渡すときは、ニュースのネタだけでなく、PRに活用できる組織内リソースにも目配せしたいところです。
さて、次回の6回目では、本シリーズで取り上げた事例や、PRAXISとIPRN AGMで発表されたものの、今回紹介しきれなかった事例なども見渡しながら、今後のPRネクストトレンドを占ってみたいと思います。
昨年、2024年は「生成AIをアシスタントにした人間中心のPR活動」がグローバルに増えてくるはずと予想しました。さて2025年はどうなるでしょうか?
次回のコラムをぜひご期待ください!