東京都「名もなき家事」が格闘漫画「範馬刃牙」とコラボ なぜ?

東京都は13日、「名もなき家事」の普及啓発の一環として実施したキャッチフレーズ募集企画の入賞作品を発表し、格闘漫画「範馬刃牙」とコラボレーションしたPR動画を公開した。

実データ グラフィック 範馬刃牙×東京都KV

東京都 生活文化スポーツ局が2024年6月27日から8月31日まで実施した「『名もなき家事』あなたの声・アイデア大募集‼」では、「名もなき家事」に関するエピソードやキャッチフレーズ、ネーミング案を募集。「キャッチフレーズ部門」「ネーミング部門」で4名の審査員による選考会を実施し、キャッチフレーズ3作品、ネーミング5作品を決定した。

「名もなき家事」とは、「具体的な名前は付いていないが、生活をする上で欠かすことの出来ないちょっとした家事」のこと。大和ハウス工業が提案する「家事シェアハウス」のプロジェクトにおいて2016年、同社のマーケティング室上席主任・多田綾子氏によって名付けられた。

今回都が制作したのは、キャッチフレーズ部門の入選作品のひとつ「小さな気づきが 大きなきずなに」を用いたPR動画だ。

実データ グラフィック 範馬刃牙×東京都KV

「範馬刃牙」×東京都 「名もなき家事」PR動画。公開から5日で約7.4万 回視聴されている。公開は2025年3月31日まで。

累計発行部数1億部を超える格闘漫画「刃牙」シリーズは、主人公・刃牙と父・勇次郎の “家族の物語” が見所のひとつ。動画では 父・勇次郎が刃牙に、“ごみ捨て” について指導したり、ごみの収集日を意識すること、ごみを集めること、ごみ袋をセットすることなど、ごみ捨ての前後にある細かな「名もなき家事」に ”気づき、共に行動すること” の大切さを説く。

なぜ格闘漫画とコラボしたのか?

意外な組み合わせのプロジェクトの背景にあるのは、都の調査における「名もなき家事」に対する男女間の認識の差だ。

2023年に都内在住の男女5000名(未就学児を持つ男女4000名、18歳~69歳の男女1000名)を対象に実施した「令和5年度男性の家事・育児実態調査」において「名もなき家事」の分担状況を調査した。

アンケートでは子育て世代(配偶者あり・未就学児あり)及び全世代のうち有配偶者に対し、「トイレットペーパーや洗剤等を補充・交換する」「掃除機にたまったゴミを捨てる」など4つの具体的な家事について、「あなた」「配偶者」「夫婦で分担」の3項目から選択してもらった。

すると男性は「自分がやっている」「夫婦で分担している」という回答も多い中、女性は約75%が「自分がやっている」と回答し、男女の認識に大きなズレがあることが分かったという。

都の担当者によると、こうした調査結果を受け、今回は特に男性に向けてアプローチしたいという想いがあった。また「家事」と「格闘漫画」の世界観のギャップも面白いのではないかと考え、格闘漫画である「範馬刃牙」とのコラボレーションを決めたという。

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