139件の応募から選出されたファイナリスト8組に優秀賞
「Generative AI Japan」(GenAI)は12月18日、日経BPが発行・運営する「日経ビジネス」と共同で、「生成AI大賞2024(Japan Generative AI Award 2024)」の最終審査・表彰式を虎ノ門ヒルズフォーラム(東京・港)で開催した。名古屋鉄道の「名古屋鉄道グループにおける、3レイヤーでの生成AI活用プロジェクト」がグランプリに選ばれた。
同アワードは、国内における生成AIの優れた活用事例を表彰する目的で初開催された。最終審査では、9月上旬から10月上旬にわたって応募された139 件のエントリーの中から選ばれた8組のファイナリストがプレゼンテーションを実施した。
「生成AI大賞2024」の関係者とファイナリスト
グランプリを受賞した名古屋鉄道は、人手不足などの経営課題を解消するためのグループDXの一環として生成AIの活用を推進。昨年度にSaaS型サービスで生成AI検証を行い、累計1200時間以上の業務削減効果を得た。その結果から今年度、 3段階の活用レベルを設けてツール整備と活用支援を行う新プロジェクトを立ち上げた。
「Basic」「Advanced」「Expert」のレイヤーを設定。「Basic」層では、広く展開するツールとしてグループ共通生成AIを構築した。使いやすさを重視し、インターフェースはグループでなじみがあった「Googleチャット」を利用。グループ内の約1万人が利用可能なツールとなっている。
「Advanced」層では、より高度な生成AI活用ができるツールとして、AI開発のエクサウィザーズが提供するプラットフォーム「exaBase」を利用。「検索拡張生成」(RAG)による問い合わせ業務の効率化により、累計30時間以上の業務削減効果を見込んでいる。
「Expert」層は、専門業務や顧客向けサービスに生成AIを組み込む事例を創出する目的で、遺失物管理システムがその一例。遺失物のシステム登録において、生成AIが撮影写真から登録情報を作成するという機能を組み込んだ。最短5秒で登録が完了し、大きな業務削減効果を生んでいる。
全体統括と活用支援も実施。ガイドラインを早期に策定し、状況に応じて改善することでガバナンス強化と安全な生成AI活用の両立を実現している。継続的に内製のセミナーを開催しているほか、情報を集約した専用ポータルサイトを設け、情報取得の難度緩和も進めている。
同プロジェクトは、実務担当者が生成AIを使いこなすことで、直接サービス向上に寄与する「Expert」事例が創出される環境を目指す。顧客からの問い合わせメール対応業務への組み込みなど、現場レベルでの活用をさらに進めていく考えだ。