トヨタ自動車「認知症の「誤解」を「理解」へ」
認知症の人が一人で外出することは危険と思われがちだが、認知症と診断された6割以上の人は「誰かが注意すればひとりで生活できる」というデータもある。社会参画が認知症の進行を遅らせると言われており、症状が軽度の場合は社会で活躍できる可能性もある。一方、認知症への理解不足から、外出を禁止したり、財布を持たせないようにしたりするなど、周囲の人が管理や制限を始めてしまう実態があるという。
30~40代で発症する若年性認知症もあり、高齢者だけの問題ではない。同社は「いつ誰が当事者になるか分からないからこそ、誰もが安心してお出かけを楽しめる社会のために、誤解を理解に変えることが必要だ」としている。
認知症に関する機器は「家族の負担軽減」を目的としたものが多く、「本人の自由な移動」をサポートするものが少ない状況を踏まえ、同社はルート案内が可能なウェアラブルデバイス「ツギココ」の開発を進めている。
腕時計のようなデバイスで、事前にルートを設定すればワンタッチで案内を開始する。ナビ画面はシンプルな矢印で、曲がり角に近づくと振動と音声で伝える。全国100人以上の当事者に実証実験に協力してもらい、発売へ向けてアップデートを繰り返している。
様々な社会課題に対して世の中の興味関心を促すため、同社は「#CHANGEトヨタのサステナビリティ」プロジェクトを実施。これまで「あおり運転」「免許返納」「育休」などのテーマでコンテンツを配信している。斉藤氏は「様々な環境にいる人々が、それぞれ活躍できるような社会にしていきたい」と話した。