「思考の断捨離」を促すノート 一般消費者の視点を生かした新商品「Flow of Thoughts」、コクヨ

ノートの機能を意図的に制限した「Flow of Thoughts」

2022年のアワードでは「UNLEARNING」(アンラーニング)をテーマに作品を募集。コロナ禍の中、これまで積み上げた知識、感覚、経験を一度リセットし、新たな角度で学び直すアイデアを求めた。

ノートを商業的に考えると、「罫線を増やす」や「ページ数を増やす」といった発想が浮かびがちだが、同商品はあえて筆記スペースを制限しており、従来のノートの概念を打ち破り、新しい使い方を提案しているという点においてもテーマに合致しているとしている。

同社は商品化にあたり、ストレスを抱えがちな20~40代の働き盛りの社会人に需要があると見込んでいる。商品化の際には需要やターゲットを考慮し、必要に応じて形状を変更することもあるが、今回の商品は完成度が高く、そのまま採用したという。

コクヨアワードを通じて商品化された商品は、まずは少量生産で販売チャネルを限定し、反響に応じて大量生産や販路の拡大を行う。今回の商品は、まずは300冊の販売を目指す。

「X」の投稿で「使ってみたい」「試してみたい」といった反響が寄せられている。一方で、「使い方が分からない」といった声もあった。同社は、ユーザーコミュニティで使い方のアイデアを募り、SNSを通じて活用方法を発信する。コミュニティでは、読書記録や植物の観察日記、縦向きに使うといったアイデアが提案された。

アワードのアイデアを商品化する意義について、グローバルステーショナリー事業本部 D2C戦略本部 ダイレクトマーケティング部の奥山由希子氏は「文房具のプロでも、開発する際に視野が狭くなることがある。一般人からデザインを提案してもらうことで、新たな気づきが得られる」と話した。商品化して販売することで、予想外の反響が得られることもあるという。

コクヨデザインアワードは、ユーザー視点のモノづくりの推進を目的に2002年にスタートし、ほぼ毎年開催している。海外からの応募者が半数近くを占める。MoMAのパーマネントコレクションに認定されている「カドケシ」をはじめ、「本当の定規」、「白と黒で書くノート」などユニークな発想の製品を生み出している。近年では、2023年3月に製品化・発売された「スマートなダブルクリップ」が、2023年グッドデザイン金賞を受賞した。

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