撮影当日に即配信「極AIお台場スタジオ」が叶える新しい広告

サイバーエージェントでは2023年9月、広告効果最大化の追求に特化したクリエイティブ制作スタジオ「極きわみAIお台場スタジオ」を新設。同社が開発した、広告効果予測ツール「極予測AI」と最先端の撮影・編集設備を掛け合わせることで、新たな広告制作のフローを実現している。AIを活用したクリエイティブ制作をリードする洞ノ上茉亜子氏と赤井健二郎氏に話を聞いた。
写真 人物 サイバーエージェント インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門 極クリエイティブ局 AIクリエイティブプランナー 洞ノ上茉亜子氏、Cyber AI Productions AI Force マネージャー/プロデューサー赤井健二郎氏

左から)サイバーエージェント インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門 極クリエイティブ局 AIクリエイティブプランナー 洞ノ上茉亜子氏、Cyber AI Productions AI Force マネージャー/プロデューサー赤井健二郎氏

変わり続けるアルゴリズムに対抗そのために生まれた「極予測AI」

サイバーエージェントは2023年9月、6秒企画とCyberHuman Productionsの2社を合併し、ブランド領域における動画制作からAI や3DCG、バーチャルプロダクションなど最先端技術を活用した広告クリエイティブの企画・制作までをワンストップで手掛けるCyber AI Productionsを設立した。同社では今、同時期にオープンした制作スタジオ「極AIお台場スタジオ」で、映像領域でのAI活用に取り組んでいる。

「インターネット広告媒体費において、運用型広告が占める割合は約9割。運用型広告の場合、どんなに人間が“良い”と思ったクリエイティブでも、媒体側のアルゴリズムによって配信されないことが起こりえます。量だけでなくクリエイティブの質の担保が求められながら、その結果は配信してみないと分からないというのが実情でした」と洞ノ上氏は説明する。

そうした中、生成AIの登場により、人力では限度のあった膨大なパターンの素材制作を瞬時に行うことが可能になった。そこで同社では2020年に「極予測AI」をリリース。素材を制作しながら、同時に、より広告効果の高いクリエイティブを生み出す手法を提案してきた。

このとき「極予測AI」の機能を最大限に生かすためのポイントは、完成品ではなく製作途中の素材を効果予測AIにかけ、その場でスコアを算出してチューニングしていくことにある。静止画やテキストで行われてきたこの仕組みを、動画でも応用できないか。そのためには、撮影手法や制作フローそのものを変える必要があるのではないか。そうした発想で生まれたのが、「極AIお台場スタジオ」だった。

「静止画だけでなく広告全体がパーソナライズされる傾向にあります。インターネット広告においては“至高の1本”をつくるよりも、さまざまなターゲットに対してより良い方法で正しく伝えることが求められます」と赤井氏。スタジオ設立から約1年、さまざまな切り口と手法で、事例を積み重ねている。

良し悪しの判断を数値で行いスムーズな配信を実現

最新の取組みとしては、同社グループ会社が運営するマッチングアプリ「タップル」の広告運用事例がある。この取り組みでは、撮影したその日に編集、配信まで行う「撮影即日配信」を実現した。この時、例えば背景素材は事前に数千枚単位を生成AIで制作し「極予測AI」の効果予測AIにかけて効果の高いシーンを選んだのだという。当日はクライアントも撮影に同席し、その場で予測される広告効果の数値を見ながら最適なクリエイティブを選んでいく。「クリエイティブの良し悪しの判断軸が数値で明確になることで、次のステップも踏みやすくなります。また“広告効果につながるか”という1点を向いて議論ができることも、配信までのフローをスムーズに行える理由です」と洞ノ上氏は話す。

「極予測AI」の効果予測技術と生成AIによる多様かつ高速な生成技術は、無数の可能性を生み出すように見える。しかしそのベースをつくり、最終的な判断を行うのも人間。プランナーによる企画の軸があってこそ成立する制作体制と言えるだろう。

「どこまで人が整理して、どこをAIに任せるかは最終的なゴールや商材によって変わります。日常的にこれらのツールを駆使しているからこそ、ベストな判断を行うことができる。当社では若手プランナーが中心になって、AIを武器にした広告制作を行っています」(洞ノ上氏)。

また「極予測AI」を活用することで、予測エンジンの中に個社ごとの配信データが蓄積される。これにより予測精度はさらに上がっていくのだ。

誰もやったことのない新しい解を求め続けている

スタジオの中でまだ使ったことのない機能やアセットもあり、「まだ2割くらいしか活用できていない感覚」だと洞ノ上氏は明かす。「今はまだ誰もやったことがない、新しい解を模索し続けている段階。“AIは難しそう”と思っている方も多いと思いますが、一緒に会話しながら可能性を模索していけたらと思っています」と話す。

赤井氏は「思いついたことをすぐに実行できるパートナーでありたい。これまでアイデアがあっても工数やコストの関係で実現できないことは多々ありました。それがAIによって実現できることが増え、表現の幅も拡がってきているので、これまでにないアウトプットを提案していきたい」と、今後の展望を語った。

タップル

効果の鮮度を落とさない「撮影即日配信」を実現

実データ グラフィック タップル


広告配信のアルゴリズムは日々変化するため、最も効果が出るクリエイティブも変わる。本事例では撮影・編集・納品・入稿・配信までを当日中にスタジオで完結し、クリエイティブが持つ広告効果の“鮮度”を落とさずに配信したことで、広告効果が高まった。事前にナレーションやLEDスクリーンに投影する背景素材を効果予測にかけておき、効果の高い素材を用意。またバーチャル空間にスタジオを再現した「Virtual LED Studio」で事前にアングルチェックを実施したことで、撮影フローの高速化を実現した。

NTTドコモ「爆アゲ セレクション」

あらゆるターゲットに動画広告を出し分け

実データ グラフィック NTTドコモ「爆アゲ セレクション」


対象料金プラン契約者が対象サービスをドコモから契約することで、サービス利用料金(税抜)の最大25%のdポイント(期間・用途限定)を毎月進呈する特典「爆アゲ セレクション」の動画広告。動画はある物語の一幕から始まり、「動画の途中ですが、みなさんにお知らせです」のテキストとともにサービス説明に移るという構成。ターゲットごとに冒頭シーンを入れかえて制作した。極予測AIにより3カ月で105本の動画を制作しPDCAを回し続けたことで、申込件数は130%増加、CTR 216%増、CPCは4分の1に改善した。

DeNA「Pococha」

極予測AIをフル活用 クオリティと広告効果の両立を実現

実データ グラフィック DeNA「Pococha」


極予測AIを活用したキャスト選定や、絵コンテを用いず現場で効果予測をしながら撮影をするなど、新たな制作フローに取り組んだ事例。ライブコミュニケーションアプリ「Pococha」のユーザーにとっては、ライバー自身やトーク内容に加えて、配信している部屋の雰囲気もライバーごとのパーソナリティを表現する重要な要素。フルCGのセットで背景を組むことで、「ターゲットに刺さる視覚情報のつくりこみ」と「極予測AIによる広告効果の事前予測」の両立を可能にした。
advertimes_endmark

お問い合わせ

株式会社Cyber AI Productions

EMAIL:cai_pr@cyber-ai-productions.co.jp

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ