ブランドの課題をPR視点で解決 ビルコムの「PRパワー」活用事例

データ活用に強みを持つ統合型PR会社のビルコムは、自社開発のPR効果測定ツール「PR Analyzer®」を用いてブランド力の可視化やそれに伴う課題の導出などを行う「PRパワー」というフレームワークをクライアント支援に活かしている。その背景には、顧客から受ける相談の多くが、ブランド力の不足に起因するからだという。同社ストラテジックプランニング局局長の長沢美香氏が、11月29日に開催された「宣伝会議サミット2024」に登壇。ブランド力の数値化とコミュニケーション戦略への反映によって事業貢献を実現する手法について紹介した。

悩みの多くはブランド力の問題に行き着く

長沢氏は冒頭、ここ最近のクライアントの問題意識としてよく聞かれることとして、「低価格品の台頭」「シェア減少」「顧客の高齢化」を挙げた。

「物価高騰により生活防衛意識が強くなり、生活者がより低価格品を好むようになりました。また機能の優位性でシェアを維持していたが低価格に流れた顧客が戻らず、シェアが減少しています。さらにブランドと共に顧客層が高齢化している一方で、若年層の獲得はできていないのが現状」と述べ、「課題の本質にブランド力がある」と指摘した。

写真 人物 ビルコム ストラテジックプランニング局 局長 長沢美香 氏

ビルコム ストラテジックプランニング局 局長 長沢美香 氏

ブランド力に課題を感じているクライアント向けに、ビルコムは「PRパワースコア」の計測をもとにした課題解決策を提供している。PRパワーとは、ビルコムが定義する助成想起、カテゴリ純粋想起、カテゴリ想起集合、検索行動までを押し上げる力を示す用語を指す。どのファネルが課題かが可視化され、従来見えづらかったブランド力が数値化され課題解決の糸口を見つけやすくなる。

PRパワースコアは、効果測定ツールであるPR Analyzerで測定する。PR Analyzerは、自社と競合のクリッピングから効果の算出、集計、比較、分析を1チャネルで対応できるクラウド型PR効果測定ツール。Web/新聞・雑誌+SNSを網羅したクリッピング機能のほか、9つの指標でPR活動の成果を把握することができる。競合企業の露出状況を比較・分析することもでき、350社以上の導入実績がある。

PRの可視化で次の手が打ちやすくなる

続いて、企業が情報を発信するための広告メディアやPRを取り巻く環境について解説した。圧倒的な伝達力を持つテレビCMは、「リーチ単価が安く、オーディエンスへ確実に届けられます。一方で広告市場全体における割合は減少傾向で、テレビを含むマス4媒体は総広告費の30%くらいにまで縮小している」と分析。一方でインターネット広告は45%ほどを占め、存在感を増している。

メディア掲載を狙う従来のPR手法は、当たれば大きいが掲載される確証はない。長沢氏は「かつてはギャンブル性が高い手法だった」と言及した上で、それが変わりつつあることを解説した。

「PR Analyzerにより報道状況が可視化され、ブランド力『PRパワー』の課題が導出できるようになりました。報道のプロセス、メディアとのリレーションがどのような状況にあるのかも行動データとして見ることができます。難易度が高いとされるPRも数値化が可能になったことで、どのような情報をどのメディアにいつ持っていくかによって、どんなパブリシティがとれるのか、具体的な分析が可能となりました」(長沢氏)

メディア掲載だけでなく、オウンドメディアやSNSなどを組み合わせた「Social」「Owned」「Earned」「Paid」の統合型PRの重要性についても触れた。これらを実行していく上で重要になるのが「ファクトベース」、「第三者発信」、「情報波及」という3つの要素である。

企業が発信する情報はファクトに基づいていることが重要であることは言うまでもない。それがマスメディアの記者やインフルエンサー、専門家などの第三者を通じて多様なメディアで広がっていくことでPRの効果は増大していく。

「企業が発信した情報が、例えばソーシャルメディアからWebメディア、マスメディアへと、様々なメディアに情報波及していく。統合型PRの実践には、そのような構造をつくることが重要です」

ブランドの課題を明確にする方法

クライアントが抱えるブランド課題は主に7つのケースに分類されるという。

《ブランド課題 7つのケース》

1. ブランドは確立されているが、競合が台頭してきてシェアを奪われている
2. ブランドは確立されているが、市場自体が縮小傾向にあるため、売上が落ちてきている
3. ブランドは認知されているが、認識に誤解があり、理想のパーセプションが得られていない
4. ブランドは認知されているが、業界変革に対し自社の対応が遅れ、競合に市場を取られている
5. 市場上位でありながら、ニッチ市場であることから、ブランドが認知されていない
6. 競合が圧倒的シェアNo.1であり(特定の層に指示されているものの)ブランドが認知されていない
7. プロダクトブランドの認知は高いが、コーポレートブランドとしての認知が低い

また、それぞれの課題を「PRスコア」と「ブランドシェア」の座標軸上に掲示した。そうすることでブランドが置かれている課題が明確になり、課題別に適したコミュニケーション施策をとることができるという。

イメージ クライアントの課題はどのケースに該当するのかを把握する

クライアントの課題はどのケースに該当するのかを把握する

コミュニケーションの設計は「誰に」「何を伝えていくのか」「どうやって」伝えていくのかというフレームワークを用い、どの層に対して「基本価値」あるいは「独自価値」を提供するのかを設定する。ブランド課題のケースに応じて統合型PRを実践していると説明した。

長沢氏は最後に「現状のブランド力がどれくらいのものなのかを知るために、PRパワースコアを測定することによって、ブランドの特徴と課題が特定できます。そして、そのブランド課題に合わせてコミュニケーションを設計することにより、市場を広げたり、ブランドを大きくしたりすることができます」と述べ、セミナーを締めくくった。

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お問い合わせ

ビルコム株式会社

住所:東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー11F
TEL:03-5413-2411
URL:https://www.bil.jp/


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