3つのサービス利用をUberの統合IDとしてエンゲージ、ユーザーの適切なモーメントを捉える広告を配信

近年、メディア企業は従来の「広告枠」の提供にとどまらない広告ビジネスを展開し始めています。加えて、生活者との大量の接点を持つサービス企業が新たな広告メニューを開発する動きも進んでいます。各社は今、どのような方針でメニュー開発をしているのか。さらには、広告営業の戦略とは? Uber Japanの戦略について聞きました。
※本記事は月刊『宣伝会議』2025年1月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。

2024年から国内セールス開始、Uberならではの価値を提供

配車サービス「Uber」やオンラインデリバリーサービス「Uber Eats」を展開するUber Japan。同社では2023年に本格的に広告営業組織を立ち上げ、2024年から営業活動をスタートさせた。

現在、同社の広告営業組織は「配車サービス」、「フードデリバリー」、「グローサリー&リテール」の3つの広告事業で構成される。

同社では国内において「Uber」と「Uber Eats」のアプリを提供しているが、そこに配信される広告は「ジャーニー広告」、「スポンサードリスティング」、「ポストチェックアウト広告」、「スポンサードアイテム」などが存在する。

「ジャーニー広告」は、「Uber」利用時に配信される広告で、配車サービスを申し込んでから乗車して目的地に到着するまでの間、1社のみ配信されるメニュー。一方の「スポンサードリスティング」は「Uber Eats」アプリの利用者向けで、アプリを開いてから閉じるまで平均100店舗以上が表示される。

同社・営業本部長の持田忠一郎氏は「『Uber Eats』ユーザーの約7割は、何を食べたいか決まっていない状態でアプリを開き、豊富な選択肢の中からその場で食べたいものを決める傾向にある。それゆえ、アプリ内で掲出される広告は高い効果を見込むことができる」と説明する。

注文後、配達を待つ間に表示されるのが「ポストチェックアウト広告」だ。配達までの待ち時間は、アプリ内の画面に注視することが予想され、それゆえ広告に対する注目も高まることが想定される。

また、Uberではフードデリバリーだけでなく、大手コンビニチェーンと連携するなど、食料品デリバリーのサービスを近年、強化してきた。こうしたサービスの利用者を想定したのが「スポンサードアイテム」だ。この広告メニューは、アプリ内で登録する小売店舗のページを訪れた際、広告が配信されるというもの。

持田氏は「それぞれのアプリのサービス利用特性に応じた広告メニューを開発している。特に、Uberならではの強みと言えば、決済終了後から商品を待っている間というアプリの注視率が高いタイミングで、広告配信が可能であること」という。

広告配信においてユーザーの適切なモーメントを捉えられる理由としては1st Partyデータの活用があげられる。「Uber」と「Uber Eats」のアカウントはUberの統合IDとしてエンゲージされているため、独自の位置情報・購入履歴を活用した広告配信が可能となっているのだ。

「データを用いて、よりユーザーの嗜好性に合った広告を、モーメントをとらえて配信することで、ユーザーにとっても、広告がより魅力的な体験になる仕掛けを考えていきたい」と持田氏は今後の展望を語った。

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持田忠一郎氏

Uber Japan
Uber Advertising
営業本部 本部長

1997年に電通ヤング・アンド・ルビカムに入社。その後オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンを経て2007年にグーグル・ジャパンに入社。以降X(旧ツイッター・ジャパン)、ピンタレスト・ジャパンの国内広告事業立ち上げに携わり、広告業界のデジタルシフトを推進。2023年8月より現職。

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