コミュニティクリエイションで実現する「まちづくりのYOMIKO」へ

博報堂DYホールディングスのグループ会社である読売広告社(以下、YOMIKO)。同社はビジョンとして掲げる「GAMECHANGE PARTNER」の具現化に向け、新たな取り組みを推進するという。広告会社としてのケイパビリティをいかに拡張し、変革する社会に貢献していくのか。代表取締役社長の菊地英之氏に話を聞いた。
写真 人物 読売広告社 代表取締役社長 菊地英之氏

読売広告社 代表取締役社長 菊地英之氏

「まち」というフィールドの上でYOMIKOの強みを発揮

YOMIKOは2022年に新体制のもと「GAME CHANGE PARTNER」というビジョンを設定。得意先のビジネス変革につながる同社の強みを活かした事業開発に取り組んだ。

フルファネルマーケティングやさまざまな強みを有する中で、2024年度において特に注力してきたのが、場の価値をデザインする「まちづくり領域」での取り組みだ。背景について代表取締役社長の菊地氏はこう話す。

「今、日本国内では高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化が進み、今後数十年でさらに問題は深刻化。また五輪や万博などの大規模イベントを受けた再開発や全国各地でのスタジアム・アリーナ開発も活発になっています。施設やまちを新たにつくる、あるいは新たな価値を発信していく。このとき、人々が集まり、持続的に成長していくためには何が必要なのか。当社では2008年から、社内シンクタンクである都市生活研究所において、国内で先駆けてシビックプライド®の研究・調査を行ってきました。シビックプライド®とは、地域や自治体に対する住民の誇りや愛着、そして地域社会に貢献する意識を指す言葉。私たちは長年の研究を通して、単なる“地元愛”ではない、市民の“誇り”を育むメソッドを開発してきました。ハード発想になりがちなまちづくりに、住民や市民を中心に考えるソフト発想を重視する得意先が増えたことで、当社への相談が増えていると考えます」。

これまでにも同社は、MIYASHITA PARK(東京都渋谷区)や柏の葉スマートシティプロジェクト(千葉県柏市)など、公民連携の開発事業に参画し、シビックプライド®発想によるビジョンやコンセプト策定からエリアマネジメントまで様々な領域に携わってきた。直近では2024年5月、大阪・御堂筋に「いちょうテラス高麗橋」がオープン。歩行者中心の道路空間づくりをめざし公共空間の整備を通じた社会課題の解決にも取り組む。さらに自社事業「ネブタスタイル」では、青森県民のシビックプライド®の源泉が「ねぶた祭」にあることに着眼し、これまで産業廃棄物として捨てられていたねぶたのかけらをアップサイクルした商品開発事業も運営している【画像1】。

画像1 シビックプライドの取り組み

終了後に産業廃棄物として捨てられてしまう、青森県・ねぶた祭の「ねぶた」。本取り組みでは青森県民の「心のよりどころ」である「ねぶた」から生まれた和紙を、胸ポケットにしまう「名刺入れ」にアップサイクルした。これをねぶた師や青森市長など、リレー形式でプレゼントしつないでいく企画を取材し、特設サイトで掲載している。

広告会社として培ってきた、企業と社会、人と人をつなぎ、新たな価値を生み出すというケイパビリティ。そのフィールドを「まち」に移し、「まち」に存在するさまざまなプレイヤーをつなぎ、その地域が抱える課題や社会課題を解決する。同社ではこのメソッドを「コミュニティクリエイション®」と名付け、事例を積み重ねている。

「生活者発想」を深掘りし「シビックプライド発想」へ

これらの動きは、YOMIKOが博報堂DYグループとして掲げる、グループ間の連携強化の方針も背景にあるという。

「博報堂DYグループでは共通して『生活者発想』をフィロソフィーとして掲げています。では私たちYOMIKOにとっての『生活者発想』とは何か。それを深掘りして定めたのが、『シビックプライド®発想』でした」(菊地氏)。

その一環として2023年には、グループ横断組織として「シビックプライドコンサルティング」を専門に行うチームを発足。

2024年の春にはチームメンバーの数名が、同じ企業グループに属するkyuの傘下にあるコペンハーゲンの世界有数の都市戦略・都市デザインコンサルティング会社「GehlArchitects」 に出向。都市づくりのノウハウを学び、現在「アーバンストラテジスト」の肩書で、さまざまなプロジェクトを先導する。

また2024年度からは新卒採用のコンセプトを一新し、「全職種、ビジネスプロデューサーとしての採用」を打ち出している。冬に行ったインターンシップでは、新たに「場の価値創造ビジネスを知るコース」を追加。都市計画を専攻する学生も集まったという。

「新人研修で行ったシビックプライド®発想のタウンウォッチングでは、『あなたにとって「これからの幸せ」を感じる「場」を撮影し、生活者の価値観の「変化」を考察してください』という課題があります。ある新人は、複雑に入り組んだ渋谷駅の路線図の写真を撮り『都市で楽しめる巨大迷路』と名付けた。元々ある場所の特性をプラスの価値として転換していく、そんな人財を育成していきたいと考えています」と菊地氏は話す。

また11月には、こういったノウハウを事業者や教育機関に向けた育成プログラムとして「シビックプライド® スクール」も開校。社内外でその独自性を発揮していく。

2025年1月に新VI策定コミュニティクリエイションを強化

2025年1月、YOMIKOグループは新たなビジュアルアイデンティティを導入する。新たにデザインされた「Y」は、同社に受け継がれる3つの変革力である「SPEED」「BEYOND」「INDIVIDUALITY」をベースとして、ステークホルダーをつなぎ、その中心でビジネス変革を実現していく価値創造モデル=「コミュニティクリエイション®」を象徴するもの。また新たなコーポレートカラーには、ゲームチェンジャーとしての意思・信念を込めている【画像2】。

画像2 新ビジュアルアイデンティティ

「今回の新VI策定の目的は、経営の加速とYOMIKOグループとしての結束力を強めることにあります。この新たなVIのもと、多様な価値観をもつ企業や生活者とともにワクワクする社会の実現に向けて、挑戦し続けていきたいと考えています」(菊地氏)。

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お問い合わせ

株式会社読売広告社 広報部

EMAIL:koho_mail@yomiko.co.jp

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