昨今、「BtoB企業のブランディング」に悩む担当者は多い。「社名認知が上がらない」「アピールポイントが分からない」─。そうした中で、「成果を上げた商品ブランディングの法則性は、企業にも応用できる」と語るのは、ミニラクリエイティブ代表取締役の中尾英司氏だ。同社は「麻布かりんと」や「チョコバッキー」「缶つま」など、数々のヒット商品のリブランディングを支援。その具体的な事例から、応用できる法則性を解説する。
「常識を疑う」ところから
「麻布かりんと」は2010年のリブランディング後、数年で「5坪で1日100万円売り上げる店舗」となり、売上20億円超えに成長。ここから得られた法則性は「先代・番頭さんの言うことは疑え」。業界の常識や過去の成功体験にとらわれない新ポジションの設計だ。
まず、包装で「お年寄り向け」「古くさい」印象を一新。「かりんとうは中身が見えないと売れない」という通念を覆し、絵柄入りの和紙包装を採用した。“お土産は皆で分ける”という常識も破り、50種以上の味から贈る人に合わせて選ぶ“パーソナライズドギフト”として提案。既成概念にとらわれない新ポジション創出につなげた。
また、「ありそうでなかった場所を見つける」法則性も押さえたい。典型例が「缶つま」の事例。当時の缶詰は「安い」「保存食・日常品」などの印象だったが、銀座の人気バーと連携し、缶詰を“ちょい足しおつまみ”という新文脈で展開。前年対比400%の成長を実現した。「隣の商品カテゴリでの当たり前をスライドさせる『ずらしのテクニック』が重要です」と中尾氏。
図 大ヒット商品の開発ノウハウ
こうした法則性こそ、企業ブランディングに応用できる。実例に挙げるのが、分譲住宅メーカー・東栄住宅の企業ブランディングだ。テレビCMを投下する高額な「注文住宅」型か、価格訴求型の「分譲住宅」に二極化されていた、当時の分譲住宅業界。その間を取り、新ポジションとして「ユニクロ的なノンブランドだけど、品質が良くおしゃれ」を訴求した。「新世代(ミレニアル・Z世代)に寄り添う住宅メーカー」を標榜し、メインコピーに「今の時代、大切なのはブランドじゃない。」を採用。俳優の成田凌と新鋭映画監督の山田健人氏によるテレビCMも展開し、分譲住宅のCMにありがちな「笑顔の家族」路線からの脱却を図った。
「ポジショニング戦略は、特にBtoB企業に有効です」と中尾氏は強調する。従来、限られたカテゴリでの認知で十分だったBtoB企業の多くはブランディングに注力してこなかった。
「優秀な人材確保などの課題を前に、多くのBtoB企業が今ブランディングに着手しています。カテゴリの開拓は早い者勝ちですが、化粧品業界などBtoC企業に比べれば新たな攻め方が数多くあるでしょう」。
ミニラクリエイティブは、戦略プランナーが企業と伴走し、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定からウェブ・テレビCMなどコミュニケーション戦略立案まで一貫した支援体制を整えている。
「企業ブランディングは3~10年の中長期戦略。すぐには効果が出なくとも、私たちが試みているのは、数年後の会社の未来を変えること。先を見据えて取り組んでいきましょう」。
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