「広報業務の成果が見えにくい」という課題は、多くの広報担当者の共通の悩みと言える。デジタル化によるメディアの急増、SNSの活発化に伴う炎上リスクの増大、ステークホルダーの多様化による対応の複雑化など、広報業務を取り巻く環境は大きく変化している。加えて、広報業務の「成果はコントロールしづらい」という特性も重なり、業務の優先順位付けと取捨選択が進まない状況が生まれている。
「この状況では経営層による広報への投資抑制や、労働時間の長期化、PRパーソンの成長鈍化といった負のループに陥ります」とプラップノードの渡辺氏は指摘する。
状況改善のため、業務の重要度を仕分けることが不可欠だ。この段階を経てはじめて、効果的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が可能となる。DXは単なるデジタル化ではなく、「ビジネスプロセスの変化➡行動変容」までを含む包括的な変革を指すことも押さえたい。
DX化を進める3つのポイント
業務の重要度を仕分けるため、確認したいポイントは3点ある。
1点目は「業務目標と経営者のニーズの合致度」だ。プラップノードが提唱する「広報欲求5段階説(図)」を参考に、自社の現在地を把握し、経営層と認識を共有するのが重要だ。
図 プラップノードが提唱する「広報欲求5段階説」
「経営者が広報に期待することの認識がずれると、評価されない環境に陥ります。経営層が広報にできることの有無を把握していない場合は特に、自社の現在地について経営層とも共有することが欠かせません」。
2点目は、「自社の広報資産」の再確認だ。「ネタ資産」(ユニークな社員、制度、オフィスなど)はファクトシート化し、「つながり資産」(メディアや人脈)はデータベース化、「スキル資産」(担当者の経験や知識)は見える化することが推奨される。
3点目は、「成果は数値化可能か」の確認。ここでKPI(重要業績評価指標)ツリーを活用できる。広報業務の目標(例:認知向上)を達成するKPIを「広報の質を上げる」➡「重要媒体での掲載数」などと分解・数値化すると成果が見えやすくなる。
ここで検討すべきは、どの業務から着手するか。渡辺氏は「記者からの問い合わせに誠実に対応する」など、“コントロール” 可能だが “計測” は不可能な業務から着手し、徐々に「記者とのコンタクト数」など “計測” 可能な領域に広げるアプローチを提案。この積み重ねで「重要媒体での掲載数」のような “コントロール” が難しい領域にも影響を与え、「認知向上」など最終ゴールを目指していくという考え方だ。
「自社がどこにいて、どんな資産を持ち、どこに向かいたいか。これらを把握するのが成果を出す近道です。私たちプラップノードは、PRオートメーションというDXツールで広報業務を可視化する支援をしています。自社の現在地を把握するのが難しいという方はご活用ください」と渡辺氏は締めくくった。
図 PRオートメーションとは?
『なぜ御社の広報活動は成果が見えないのか?‐可視化・数値化・省力化を加速するDXの進め方』
2024年11月26日発売
渡辺幸光著
定価:2,200円(本体2,000円∔税)
ISBN 978-4-88335-617-1
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