「炎上の要因は多様化しており、他人ごとではない」と指摘するのは、シエンプレカスタマーサクセス推進課シニアマネージャーの前薗利大氏だ。2023年の炎上発生件数は1583件(同社調べ)で、法人等による炎上は541件。特に近年は、炎上に加え「キャンセルカルチャー」が増えている。「キャンセルカルチャー」とは、著名人など特定対象の言動をSNSで糾弾し、対象を社会から排除しようとする動き。“一時的な反発”を示す「炎上」と異なり、不買運動や対象の出演番組の放送中止を求めるなど、“社会的制裁を持続的に行う”特徴がある。
ではなぜ「キャンセルカルチャー」が起こるのか。誹謗中傷の動機や理由の調査(『炎上とクチコミの経済学』著者・山口真一氏調べ)から、半数以上が「『正義』で他人を裁いている」ことが判明している。
問われはじめた「起用者責任」
特に最近は「『キャンセルカルチャー』を前提として、起用者側の責任も問われるようになってきた」と前薗氏。広告に起用された著名人の不適切な言動を受け、企業が広告を差し替えたり、テレビ出演を止めたりすることは従来もあった。だが、その際に企業(起用者)に向け「起用タレントの言動から、事態を予測できたのでは」などと批判が過熱しているのだ。
例えば2024年3月、経済学者の成田悠輔氏が出演するキリンビールのCMに対し、成田氏の過去の発言が問題視され批判が殺到。ネット上で「キリン不買運動」というハッシュタグが拡散され、キリンビールはCMを放送中止に。すると同社に対して「タレントを起用する責任を放棄した」「無責任」とさらに批判する声も上がった。本事例も「“不適切な”人を起用した企業が許せない」人々の正義感から、炎上したといえる。
では「起用者責任の追及」に対応するため、企業にできることは何か。前薗氏は「炎上時は起用を取りやめるか否かにかかわらず、起用経緯などのスタンスを示せるようにすること」と言及。そこで必要なのは「広告に著名人を起用する際、『炎上リスク』に加え、炎上した際のシナリオまで深く検討する視点を持つこと」と指摘する。
とはいえ、リスクの分析は過去の言動も含め長期的な調査が求められ、工数もかかる。「炎上シナリオ」の想定も容易ではない。そこで前薗氏は、シエンプレが提供する「タレント/インフルエンサーリスク診断サービス」の活用を提案する。「起用したい著名人」の過去の言動などをチェックし、炎上リスクの予測と、起用への助言を受けられる内容だ。
図 企業に求められる「起用者責任」
また、プレスリリースやメルマガなど外部に発信する広告物をリスクチェックする診断や、SNS炎上などの相談ができるサービスも提供している。診断がきっかけで、企業のソーシャルリスク管理体制の再構築を支援することもあるそうだ。
「自社で気を付けていても、他社の炎上に巻き込まれるリスクが増えています。一度炎上すると多くの人の記憶に残るため、最新の炎上事案を参考に自社のルールを更新し、リスク管理の体制整備をお勧めします」。
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