「策定したけれど、この先、どうしたらよいかわからない」本著のカバーにも書いてある懸念は正に多くの企業で起きている現象ではないでしょうか?パーパスという言葉が話題になった時に、「また新しいカタカナ言葉が出てきた」「どうせ一過性の流行りコトバでしょ?」と直感で思った人も少なくないと思います。
しかし、この懸念の最大の要因は、単にカタカナ言葉にあるのではないと感じています。
一番の課題は企業の経営者と社員の間にある意識格差・温度差だと思います。
私自身が、「理念と利益」という拙著や、マーケティング業界のグローバルイベントAdvertising Week Asia 2023にて「ベストパーパス・プラクティス」という賞を開催し、学生を含めたメンバーで「パーパス(理念)が素晴らしく、かつ社員も含めて実践されている」と感じる企業を表彰させて頂いた経験値から、ユーザーが直感的に「パーパスが素晴らしい」と感じる企業に共通するのは、経営層と現場社員の意識格差、温度差がない、もしくは非常に少ない点でした。そこには正に本著にも触れられている「浸透のサイクル~理解・共感・行動・定着~」が存在していました。また社員へのインタビューを通して感じた“行動しようとする熱量”がありました。
更に、本著のP85にも触れられているように、“顧客にブランドは何をベネフィットとして提供できるのか?”“顧客が本当に望んでいる事(なのに言語化出来ていないこと)は何か?”を知ろうとする顧客の深層心理への深い洞察(インサイト)があることも、ベストパーパスに選ばれた企業の共通点でした。
パーパスは手段ではなく、目的であり、実践であることを本著では見事に、かつ抜け漏れなく記述されています。これから自社のパーパス見直しに取り組む方も、これから起業する人たちにも、まず一度本著に触れてみることをお勧めします。
余談ですが、第6章「マイパーパス」については、私自身は、プライベートもワーキングも「全ての活動がライフワークとして自分自身の核・コアに集約される」タイプなので、やっぱり自分はちょっとおかしな人なんだなと再認識した次第です(笑)。
「企業が成長し続けるための7つのステップ パーパスの浸透と実践」
著者:齊藤三希子
定価:2,420円(本体2,200円+税)
近年、多くの企業がパーパスを掲げるようになりましたが、その浸透にあたりさまざまな課題を抱えているところも少なくありません。本書はそんな課題を持つ皆さんに向けて、日本で早くからパーパス・ブランディングに取り組んできた齊藤三希子氏が書下ろしました。多くの人にパーパスを正しく認識・活用してもらうべく、その考え方、言葉の使い方などを解説。そして今回は、多くの企業で課題の多い「浸透と実践」の部分にスポットを当てて、パーパス実現への道のりと各過程における具体的な実践方法を解説しています。
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